ニッケイ新聞 2008年10月16日付け
ロシアとベネズエラ、そしてグルジアと三国の間に、どんな関係があるのか。その方面の関係者でなければ分からないが、エネルギー地政学の急所を握っているとルーベンス・バルボーザ元駐米大使が、真相を明かしたと十四日付けエスタード紙が報じた。
ベネズエラはロシアと軍事同盟を締結し、大西洋における石油の動きを監視する。岩塩下油田もその範囲に入る。ルーラ大統領が原潜建造に拘るのは、大油田の埋蔵可能性があるブラジル近海の巡視が、緊急課題となったからだ。
一方、最近内紛が起きたグルジアの南オセチアは、カスピ海沿岸の石油とガスをEUへ送るパイプラインの関所。南オセチアは、EU経済の生命線であるエネルギーの通り道になっている。
南オセチアはグルジアに属する自治州だが、グルジアから独立し親ロシア政権の樹立を望んでいる。グルジアは親米政権で、南オセチア侵攻に米国が武器弾薬や軍事顧問団を送り込んだ。侵攻は、プーチン首相が北京五輪へ行った留守を狙って行われた。
グルジアには、米ロ暗黙協定があった。それが南オセチア侵攻で破れ、冷戦時代へ逆戻りをしつつある。EUがロシア軍の南オセチア撤退を要求したが、ロシアは何らかの方法でパイプラインの監視を継続する。
そこへきてベネズエラ近海でロシア・ベネズエラ海軍の軍事演習だ。ブラジルの鼻先へ、ロシアの艦船が乗り込んできた。演習を口実に石油資源の監視が、目的と同元大使は見ている。
中米にはベネズエラに続いて、ホンジュラスやニカラグア、ボリビア、エクアドルなどが対ロ接近を仄めかしている。チャベス大統領が、ロシア軍の南オセチア侵攻で理解を求めにフランスとポルトガルへ飛んだ。両国は、EU議長国とEU委員長国だ。