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波紋広げるゴミ集積場計画=モジ=安部市長は反対鮮明に=地元文協とぎくしゃくも

ニッケイ新聞 2008年10月17日付け

 サンパウロ州モジ市の市長を〇一年から務め、今年で市長の座を退く安部順二氏(二世)がこのほど、本紙ポルトガル語紙面のJORNAL NIPPAKのインタビューに応じ、モジ市郊外のタボン区に予定されているゴミ集積場建設に関して、強く反対の意思を表明した。これに関連して、同市長は、集積場建設の施工担当会社に毎年スポンサー協力を得ているモジ文化体育協会(中山喜代治会長、以下モジ文協)とあった微妙な関係性についても言及した。
 モジ文協のある関係者によれば、このゴミ集積場建設は、サンパウロ州政府環境局のプロジェクトとして、〇三年ごろに打ち出され、ブラジル大手建設会社のケイロス・ガルボン社が施工を担当。建設地として日系農業者も多いモジ市郊外のイタペチ地区近くが予定されているが、環境汚染やモジからの企業離れなどが懸念されることから、安部市長はじめ、同区の住民たちが以前から反対運動を続けている。
 しかし、モジ文協が毎年恒例の秋祭りの開催費用として、同社から毎年十万レアルの資金援助を受けるようになったことから、長年同文協の傘下に入っていたイタペチ地区の日本人会の会員らが意見の相違をもとに分離。加えて同社にスポンサー支援を求めることに賛成する一部のモジ文協役員と安部市長の間で、裏ではぎくしゃくした関係になったとされる。
 インタビューで、安部市長は、自身のキャリアのなかでモジの日系社会から多大な支援があったことを感謝したうえで、「小さなビジョンを優先し、市民全体の関心や意向を考えない何人かのモジ文協の役員がおり、彼らが確かな根拠のないまま、私が日系社会に対峙しているといううわさを広めた。それにより表面的な批判を受けたことがある」と話す。
 また、「ブラジル人、日本人移民の子孫、公の一人の人間としての立場から、モジの秋祭りにスポンサーの必要性と重要性があったとしても、モジ文協とケイロス・ガルボンがパートナーを組むことには同意しない。タボン地区にはゴミではなく、産業を呼び込むべきだ」と強調する。
 これに関して、中山モジ文協会長にニッケイ新聞が電話取材を試みたところ、「すべて終わったことです」と言葉少なげに話し、具体的な言明を避けた。
 他のある文協役員は「モジ文協としては、ケイロス・ガルボンには毎年大きな額をアジューダしてもらっており、感謝している」と語る。「ジュンジさんは、ケイロス・ガルボンの関係者との同席を避けるために、秋祭りのイナウグラソンに二回出席しないことがあった。彼が育った地域の人たちはこの行動を大人気ないと思っている。しかし、彼は移民百周年を含め、モジの発展のためによくやってくれたのは事実で、感謝しないといけない」と話している。
 モジ市役所広報によれば、安部市長は今月十日、集積場建設反対の意見を高めていくため、市の保健局や衛生局、イタペチ地区の関係者らを集めて、会議を開いている。その場で、同市長は「ケイロス・ガルボンがまだしつこくモジ市内にゴミの集積場の建設を要求していることを我々は把握している。我々は同社のどんな行動にも注意し、必要があれば、建設計画反対の声高の意見をはっきりとさせるために、マニフェストをつくるだろう」と述べている。