ニッケイ新聞 2008年10月18日付け
国家通貨審議会(CMN)は十六日、中央銀行に対し外貨の競売資金を輸出金融に重点的に充当するよう指令と十七日付けエスタード紙が報じた。銀行は景気の先行き不透明感を懸念し、政府要求の市場還流をせず預託金割引を留保金に回した。財務相は市場の流通量不足を憂慮し、二週間以内に、輸出企業の運転資金として三十億レアルから九十億レアルの緊急融資行うよう社会開発銀行(BNDES)へ要請した。
中銀は大量の外貨を放出したが、輸出促進という本来の目的が達せられていなかった。中銀は、外貨の運用を委託された銀行が輸出金融に資金を強制的に充当するよう、CMNから指示された。
大手銀行のドル隠しや資金留保は、世界的な傾向。銀行経営者なら本能的に、緊急時は資産を蔵に隠し、ほとぼりの冷めるのを待つ。流通量不足の上に資金隠しが、金融停滞に拍車をかける。
輸出のために外貨を必要とする企業へのドル建て融資は六日、CMNの最重要議題とされた。CMNが十六日、同融資は「国策」であり、他目的への流用を取り締まるよう中銀に指示した。
また資金難にある金融機関に対してもCMNは、債権の再割引を認めるなどの救援策を検討。事実上は債権の購入だが、再割引で担保物権扱いにするという。
金融機関以外の企業に対しては、債務不履行リスクの低い場合、百レアルの融資に対し百二十レアルから百四十レアルの社債を担保に、容認する考えをCMNが表明した。社債容認で、債権購入の範囲は広くなった。
財務相と中銀総裁は十六日、CMNで信用危機打開の協議を行った。会議の焦点は、救済案の効果に時間がかかるので、即効案を出す。輸出金融の資金が、必ず目的を遂げるため「ヒモ付き資金」として明示する。条件付きの預託金割引であることなどを討議した。
輸出業者に対するドル建て融資は、斬新なアイデアとして歓迎された。ドル通貨の変動が激しく、為替契約の取り付けは困難であった。変動の煩わしさから解放され、ドル高で借り入れ、ドル安で返済する可能性もあるから喜ばれている。