ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 警官同士がサンパウロ市で衝突=市警・軍警で29人怪我=「選挙がらみ」とサンパウロ州知事

警官同士がサンパウロ市で衝突=市警・軍警で29人怪我=「選挙がらみ」とサンパウロ州知事

ニッケイ新聞 2008年10月18日付け

 スト入りから一カ月余りを経たサンパウロ州市警が、十六日には軍警と衝突と十七日伯字紙が報道。同日午後、セーラ知事との交渉を拒まれた市警デモ隊と、知事公邸侵入を阻もうとする軍警が抗争状態となり、双方で二九人の負傷者が出たもの。
 発端は同日一時、スト決行中の市警約二五〇〇人が、知事公邸に程近い、モルンビー競技場前に集まった事。スト支援の中央労組(CUT)や労働組合連盟(FC)などの代表もおり、宣伝カーも配されていた。
 市警らの動きに変化が現れたのは州政府が市警組合員との交渉拒否との連絡が入った時。民主労働党(PDT)下院議員の「知事が交渉団を受け入れるか、我々がバンデイランテス宮まで出向くか」との声に、市警らが立ち上がった。
 この時、現場には、州保安局からの要請で、スト参加者達をなだめ取り締るための市警特殊部隊が何隊か派遣されていたが、市警デモ隊がバリケードを組む軍警ともみ合い、軍警特殊部隊がゴム弾などを使い始めた時、武装していた市警特殊部隊員も抗議行動隊と一体となってしまった。
 四時頃始まった抗争状態では、ゴム弾や催涙ガス爆弾の他、機関銃など実弾入り銃器も使用され、四〇~四五口径の拳銃による軍警大佐負傷など、二九人(十七日フォーリャ・オンラインによる数字)が負傷、警察車両破損も起きた。
 抗争状態そのものは長くは続かなかったというが、市警らが解散し、緊迫した状態が解けたのは午後八時過ぎ。互いに傷付け合う場面に、嘆きの声も出ている両警察だが、負傷者が運ばれた病院前でもにらみ合いが続くなど、両者の関係改善の時期は不明。
 この事態にセーラ知事は、事件には労働者党(PT)やPDTの議員が関係し、CUTやFCの支援もあったと批判。選挙前に起きた同事件は政治的策略だという。
 これに対し、PT関係者らは、自分の責任をなすりつけていると反論。市警関係者も、警察官組織はCUTやFCとは無関係と、政治的行動であることを否定している。
 市警の要求と州政府の給与調整案に大きな隔たりがある上、スト中は交渉に応じないとの強硬姿勢が、ストが長引き、今回の事態を招いた原因と批判される州知事だが、今回の混乱の責任者は州保安局にもある。市警の抗議行動鎮圧に、市警組織と軍警組織の二つを配備したこと自体が間違いだというのだ。