ニッケイ新聞 2008年10月21日付け
PAC(経済活性化計画)のインフラ投資に金融危機を波及させないとした大統領公約が、怪しくなってきた。PACは国立銀行が結束し、二百八十億レアルの調達に当たるはずであったが、資金難による計画の遅延第一号が明白となった。
マデイラ川発電所の送電線工事は、七十億レアルの予算で入札が行われる予定であった。その入札が遅れる見込みとなったので、折角の電力は二〇一二年までに目的地に到達しないようだ。
PACの全国港湾工事と中小水力発電所の建設計画は、当初予算二百八十億レアルに補正予算が二〇一〇年までに六百四十七億レアル必要であることが判明した。
港湾計画は当局が一年以上前、民間資本の協力を仰ぐことで内定していたが、政府内でも民間との間にも協力の合意が成立せず計画が中断した。
専門家の話では、国際金融に資金が有り余っていた時に投資計画をまとめず、政府は資金調達のチャンスを逸し電車に乗り遅れたのだという。
マット・グロッソ州東部と北部は、物流設備不足のため五百万トンのトウモロコシや大豆を出荷できないでいる。ブラジルの港湾は二〇〇七年、七億五千万トンを積み出した。二〇一二年は、十億トンの積み出し能力が必要になる。
旧設備で積み出し必要量を消化できないサントス港の港湾事業に参入を希望する大手企業がある。他にバチスタ・グループが、四十二億レアルを投じてペルイベに建設する計画のブラジル港は、水泡に帰した。
当局の応対がのろく、手中にあるチャンスを無にしている。Aneel(国家電力庁)も応対ののろさでは、劣らない。金策を理由に数々のプロジェクトが、電力危機を知りながら棚ざらしになっている。