ニッケイ新聞 2008年10月24日付け
十一日伯字紙が、サンパウロ市経済圏とリオ市経済圏の国内総生産(GDP)比率は、四〇・五七%と一四・三九%と報じた後に、二十二日エスタード紙が、法定アマゾンで生産される牛肉の七〇%は南東伯で消費と報じた。
十六日エスタード紙も農産物も含めた多くの品がサンパウロ市経済圏に集まると報じているが、サンパウロ市やリオ市以外にも、ベロ・オリゾンテやカンピーナスなどの経済都市もある南東伯に、物資が集中することは想像に難くない。
その意味で、アマゾン人間・環境院(Imazon)が、法定アマゾン内の牛肉の七〇%が南東伯で消費され、五%が輸出される他、域内消費は一二%のみと報告しているのも、地域の経済力や影響力を反映している。
一方、十五日エスタード紙が報じたトラック強盗の統計も都市圏への物資集中を反映。二〇〇八年前半の全国のトラック強盗六一〇二件中、三〇九六件はサンパウロ州で発生。
州内では、大サンパウロ市圏内で七八%、サンパウロ市内で五八・六%発生。積荷別では、食料品二三%、混載トラック一三%、電気・電子機器一二%、医薬品七・八%、煙草七%などとなっており、幹線道別ではサンパウロ市へとつながる国道、州道で多発。積荷の他、トラックそのものやタイヤまで狙うというから、空のトラックも危ないが、全国で起きた事件の半数のうち七八%が大サンパウロ市圏で発生という数字は、サンパウロ市経済圏GDPが四〇%という数字とほぼ符合する。
また、Imazonでは、法定アマゾンの放牧地は二五万三〇〇〇平方キロで、森林伐採地の七〇%が放牧地となっているとし、森林伐採の最大原因は放牧地拡大を裏付け。二〇〇六年の域内の牛は国内の三六%の七三〇〇万頭。二〇〇〇~〇五年に域内開設の食肉加工業者は二七社に上る。
一方の南東伯では、一九九六~〇六年に、牧場面積は一五%、牛は三%減少と地理統計院(IBGE)。アルコール生産の高まりもあり、サンパウロ州では二〇〇二~〇六年開墾のサトウキビ畑の七二%は放牧地からの転用。その他の州では、ミナス五一%、パラナ六三%、ゴイアス九〇%など。
アルコール需要増でサトウキビ栽培と放牧の競合激化と考えられる中、GDP比率とともに、食材選択とアマゾンの森林保護とのつながりも心に留めることが必要だ。