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8カ国の熊本人が一堂に=サンパウロ市でもっこす世界大会=交流ふかめ、絆つよまる=芸能ショーも盛況

ニッケイ新聞 2008年10月24日付け

 八カ国の〃もっこす〃がサンパウロに――。熊本県人ブラジル移民百周年と県人会創立五十周年式典にあわせて来伯した各国の県人・県系人による「もっこす熊本人世界大会」が十八日、サンパウロ市の文協大講堂で開かれた。約百四十人の母県慶祝団、ブラジルはじめ、ペルー(十八人)、アルゼンチン(七人)、ボリビア、パラグアイ、米国、イギリスの県人会関係者約三百人が一堂に会し、将来の県人ネットワーク強化に向けた第一歩を踏み出した。
 大会に先立ち午前十時から、八十歳、八十八歳以上の会員高齢者と功労者への表彰が行われた。
 高齢者は二十七人。代理を含む出席者に、蒲島郁夫知事から賞状と記念品が手渡された。最高齢は九十八歳の浦本シズエさん。この日は九十歳の山下政子さんが訪れた。
 功労者表彰を受けたのは、サントス厚生ホーム経営委員長などをつとめる青木実さんと、筝や三弦の普及に長年携わった小倉祐子さん(二世)。
 高齢者を代表して尾山誠さん(80)は、移民五十年祭の年に移住し県人会五十周年を迎えたことに感慨を表し、「これからも会の発展、ブラジル社会のため貢献したい」とあいさつ。青木さんは、「先人の尊い足跡を汚すことなく懸命に頑張りたい。これこそ先輩への恩返しだと思う」と謝辞を返した。
 日下野吉武実行委員長の司会で世界大会を開会。蒲島知事は「熊本をルーツにもち世界で活躍する皆様は誇りであり、宝」と述べ、県と各国県人会とのネットワークの重要性を強調、「熊本のパワーを世界に広げるための拠点として、熊本の魅力を発信していってほしい」と呼びかけた。
 一足早く〇三年に県人移住百周年を祝ったペルー県人会(県系人口は約一千家族)のセガミ・マリオ・サラサールさんは、同国ではすでに三、四世世代になっていることに触れて「若い世代をどう会活動に参加させるかが課題」と発言。
 英国県人会(会員七十二人)の松出かずおさんは、「熊本から一番遠いサンパウロでがんばっている人がいる」と話し、「今回を始まりに次へ生かすお手伝いをしたい」と話した。
 各国代表のあいさつの後は、言葉や食べ物など熊本の話題で盛り上がったほか、県から二〇一一年に全線開通を予定している九州新幹線のDVDなどが流された。最後に各国代表が記念品を交換し、大会を終了。日下野さんは「次回は新幹線の開通にあわせて熊本県で開催できたら」と期待を表した。
 昼食後は、午後一時から二時間にわたり、熊本日伯協会などにより組織された文化使節団一行による「熊本芸能ショー」が行なわれた。
 熊本交響楽団コンサートマスターの鶴和美さんらによるピアノ・バイオリン演奏や日本舞踊のほか、肥後ちょんかけ独楽では観客も舞台に上がり盛り上がった。能楽金春流の舞台「羽衣」も披露され、本格的な能舞台に盛んな拍手が送られた。
 アルゼンチン県人会の渡邊ロベルト会長(73、二世)は「最高でした。これからも力をあわせていきたい」と二日間の祭典を振り返り、「熊本だけでなく、日系人が気持ちをあわせて三、四世たちに伝えていけたら」と期待を込めた。
 ブラジル在住の妹に会うため慶祝団で訪れた有働清美さん(85)は「盛大で、びっくりしました」と話していた。