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為替防衛に500億ドル=中銀がスワップで肩代わり

ニッケイ新聞 2008年10月25日付け

 ドル通貨が二・五二レアルへ高騰し中央銀行は二十三日、為替介入を実施したが、二・二八レアルまでしか下げられなかった。中銀は外貨準備を五百億ドルまで切り崩し、為替介入を行う意向と二十四日付けエスタード紙が報じた。
 為替介入に関する中銀発表は、スワップ取引(伯米間で債権や債務を交換すること。これにより為替リスクや金利リスクの回避や資金調達、コスト引き下げが可能になる)で、ドル圧力を引き下げようとするもの。
 為替先物で多くの企業が損害を被り、資金繰りに支障を来たしている。そのため中銀は、金融危機による為替の急激な変動を緩和する方法として、スワップ取引を輸出企業に勧める考えだ。
 中銀は為替市場に百六十二億ドルを投じ、ひたすらレアル防衛に努めた。これからは、弾の量と戦術を使い分ける。輸出量から見て、五百億ドルで十分という。
 輸出業者は中銀とスワップ契約を結ぶと、中銀が契約期間中、為替の変動を肩代わりする。輸出業者と中銀の間は、レアルで決済する。
 急激な為替変動から守る保険が、スワップ取引。ドル通貨が高騰しつつあるとき、ドル所有者は高騰した差額を受け取る。ドル建て債務を持つ企業は、中銀に債務の市中金利だけ払えばよい。債務者には、都合のよい取引といえる。
 中銀は五百億ドルを掲げて、輸出企業を安堵させた。この取引を行うため中銀は、対ドル為替率を限りなくゼロにする必要がある。一時的にドルは高騰したが、実質的に強いレアルが戻ってくるという計算のようだ。
 最近ドルが高騰したのは、企業がドル建て債務の決済でドル通貨を必要とし、相乗現象を起したからだ。中銀は先物市場の需要に応じて外貨を放出するから、レアル高のとき、しっかり貯めておく必要がある。

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