ニッケイ新聞 2008年10月28日付け
統一選後の新市政は緊縮財政という問題に直面すると予想されるが、経済危機の影響を庶民も肌で感じ始めている。
中古車のだぶつきや、牛肉価格高騰などは本紙既報だが、九月のサンパウロ市ではクリスマスも買い控えなしという人が二六%いたのに、十九日エスタード紙では、首都及び五つの州都の家族収入一二〇〇レアルまでの人で、今年のクリスマスは〇七年クリスマスより厳しいという人が四五%。
出費は特に削ってないという人が二一%いる一方、日常の食料品で節約二六%、ローンの支払い停滞二四%、被服費節約二〇%、パーティー用の食料カット一二%など。高所得者はこれまで通りの消費生活維持というから、経済危機の影響は低所得者ほど深刻だ。
農薬や肥料値上がりが食料品価格にも影響している様子は十七日アゴーラ紙なども報じ、一~九月に、米三四・〇七%、マカロニやスパゲティ一二・四一%、鶏肉七%、大豆油一四・七三%の値上がり。これらの値上がりは外食費値上がりにもつながるが、輸入品販売者の中には、為替の影響で価格調整が出来ず、販売を中止した所もある。
また、為替変動の影響が顕著な輸入品販売では、十月前半の輸入車販売が五〇%まで減少した他、同時期に25デ・マルソで三〇%の販売減と十三日フォーリャ紙。
金融業者の中にも、顧客激減で閉店する所が出始めたとの報道は十一日フォーリャ紙。自動車業界も十月前半の販売が前年同期比一〇%減で、資金繰りのため金利を下げての安売り攻勢中だが、例年ならボーナス払いを見越して十一月にかけるはずの安売り攻勢を、一カ月前倒しにせざるを得ない状態と二十一日フォーリャ紙。
二十六日フォーリャ紙が企業収益の七割は為替と金利高で消失とし、経済基本金利引き上げ停止の可能性も報じたが、インフレ抑制のための高金利が経済活動圧迫という結果を呼んだ今、失業率や物価の上昇は必至との見方も。金属業界も溶鉱炉の操業を二〇%停止し、自動車業界が集団休暇など、先行き不安拡大で、企業家や消費者の信頼指数も悪化している。
外国依存率が低く、閉鎖的な市場のため、経済危機の影響は小さいといわれてきたブラジル経済も、世界的な経済危機の影響からは逃れられないことを、日々のニュースが如実に物語り始めている。