ニッケイ新聞 2008年10月28日付け
移民史料館の独立を検討へ―。ブラジル日本文化福祉協会評議員会(渡部和夫会長)は、臨時評議員会を文協ビルで二十五日午前に開き、評議員会・理事会・有識者の各五人からなる「史料館独立検討委員会」を発足させた。赤字経営が続く国士舘スポーツセンターの一部を老人ホームとして活用する提案がなされた。百六人の評議員のうち、半数にあたる五十三人が出席した。
年間六万レアルの赤字経営が続くサンロッケ市にある国士舘スポーツセンターに関して、諸川有朋同センター運営副委員長が活用状況や厳しい経営などを説明した。
コチア青年連絡協議会や地元文協による経営委譲打診を受け、昨年末に発足した同センター活用検討合同委員会の山内淳委員長は、「地域住民にとって有効な活用をすることが大事」としながらも、「根本的な打開策は見出せていない」と明かした。
文協ビル隣にある陸軍施設との交換案のほか、敷地の一部を日系老人ホームとする案も出され、頃末アンドレ評議員がピラシカーバに百年以上続く老人ホームがあることを挙げ、「早い段階で視察し、今後も検討していきたい」と熱意を見せた。
ブラジル日本移民史料館に関して、関根隆範・運営副委員長が百周年を機に多くの来場者を迎えたことを報告、史料館の将来像として文協からの独立を盛り込んだレポート「変革と変容」を提出した。今年、史料館は一万三千レアルの黒字を計上している。
これを受け、渡部会長は、理事会・評議員会・有識者の各五人で構成される「史料館独立検討委員会」を発足させることを提案、承認された。十二月十三日にある定例評議員会の場で、検討結果発表することとした。
渡部会長は、「国士舘の活用と史料館独立は文協にとって大事な問題。しっかりと議論を進めていきたい」と話した。
史料館独立検討委員会のメンバーは十五人。
理事会=山下譲二、木田喜八郎、白石マルセロ、花城アナクレット、清水オリジオ。
評議員会=大原毅、二宮正人、渡部和夫、貞方賢彦、西銘光男。
有識者=平野セイジUSP教授、森幸一(同)、鈴木雅夫サンパウロ新聞編集局長、深沢正雪ニッケイ新聞編集長、ブラジル日本商工会議所代表者。