ニッケイ新聞 2008年10月28日付け
新聞の記事は難しいーと言えば難しい。ある物事を知れば書くというものでもないし、やはり書くべきものかどうかの選択がとても大切なのではないか。ところが、日本の新聞の多くは、なんでも「書く」の姿勢が目立つ。つまり、「書きっぱなし」であり、書かれた被害者?は黙って泣くしかない▼朝日新聞の夕刊にコラム「素粒子」がある。これが去る6月18日に「永世死刑執行人 鳩山法相。(略)またの名、死に神」とした。前法相は「私を「死に神」と呼ばわった朝日新聞よ」と反発しているし、朝日には抗議電話が1000件を超したそうである。しかも、この種の記事は他にもいっぱいある。麻生首相が仕事を終わってからグラスを傾けるのをも批判?する▼首相は若い頃からバーが好きらしくハシゴも。今もこの趣味は同じであり、夕闇と共にホテルなど馴染みの酒場に出かける。ところがーである。首相が行くバーは高級店で庶民感覚とは遠い。などと記者団は阿呆らしき質問をぶっつける。これでも、まだ終わらない。記者諸君はよほど暇があると見え高級バーを何軒か廻りウイスキーの値段を訊ね得意げに書き散らすのだから酷い▼首相が愛用のボトルは2万5千円だそうな。しかも、首相に就任してから通った酒場は25店までをも記事にする神経は、とても尋常とは思えない。2万5千円の値段は個人差もあるだろうが、それほど高くはない。勤め人でも仕事帰りに焼き鳥で一杯はあたりまえだし、首相だって「夜の楽しみ」があっていい。記者さんも、もっと鷹揚にー薩摩の黒ジョカで芋焼酎をグイと傾けては如何かな。 (遯)