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大手銀、預託金留保に固執=大統領の意届かず=融資より国債購入が安全=「資金の壁」は経営の知恵

ニッケイ新聞 2008年10月29日付け

 ルーラ大統領は割引した預託金の流通促進で銀行に打診したが二十七日、大手銀行は国債購入に充当していることが判明と二十八日付けフォーリャ紙が報じた。そのため中央銀行は応急措置として六十億レアル以下の緊急基金を設立し、中小銀行の資金枯渇に対応することにした。金融危機緩和に協力する銀行にのみ預託金割引を与えることを、中銀は検討しているようだ。
 大手銀行から金融危機には、「資金の壁」を築いて流通を阻止するべきだという返事が帰ってきた。これが中長期にわたる国際的な経済混乱を、乗り越える銀行生き残りの知恵だという。
 中小銀行が資金枯渇のため窒息状態にあることで、政府の立場として大手銀行の態度に同意できないと、大統領は不満の意を表した。
 大手銀行は融資の敷居を特別高くして、貸し渋っている。割引預託金は、殆ど流通していないのが現状。世界情勢が不確定時代にある今、下手に流通させるより政策金利が一三・七五%という、国債にして置く方が得策という考えだ。
 大手銀行は、中小金融機関の掘り出し物債権を購入するため、十分な資金的余裕を持つ必要がある。曖昧な取引に資金を散らすのは、賢いとはいえないという考え。
 中小銀行は、運転資金に飢えている。溺れる者が掴んだワラのような債権など、大手銀行は鼻にもかけない。
 ルーラ大統領は財務省や企画省以外のルートで実態調査を行ったところ、意外な報告が入った。金融危機の「大津波」が襲来するとして、大手銀行は警戒態勢に入っているというのだ。
 政府の経済スタッフは、基本金利引き上げとドル高によるインフレ到来を巡って意見が二分しているようだ。オルトドックス派のメイレーレス中銀総裁とは反対に、世界各国は金利を引き下げ、経済の活性化に奔走している。
 反メイレーレス派は、中銀が高金利政策を採るから銀行が下手に融資するより、国債を買うほうが安全で手間も省けると思っていると批判する。中銀のお家芸のようにインフレ一点張りでなく、経済活性化を優先し預託金を流通させるべき時ではないかという。