ニッケイ新聞 2008年10月30日付け
下院は二十八日、外貨建て融資契約を担保に輸出手形の割引を行う金融機関を、中央銀行が支援することを認める暫定令四四二号を可決と二十九日付けエスタード紙が報じた。一方でマンテガ財務相は建設業へ三十億レアルの運転資金を融資したり、納税期限を三十日間から六十日間へ延長するなど数々の金融危機への緊急措置を打ち出す意向を表明した。
金融機関が中銀との流通契約を怠り九十日を経過しても履行しない場合、中銀は支援の代償として金融機関の資産を差し押さえる。目的は資金留保を取締り、市場の流通正常化を促進するためだと、上程者のレナット下議(PSDB=社会民主党)が説明した。
暫定令は中銀が三カ月毎に、金融危機の緊急措置に関する報告書を議会へ提出する。報告書には、金融機関の留保金残高を明記する。これで緊急対策を、銀行が履行しているか監査する。
一方では新たに建設業の運転資金として、三十億レアルを投じる意向をマンテガ財務相が表明。建設業界がTR(関連金利プラス年利九%)以下のクレジット給付を、政府へ要請したからだ。
政府の目的は、建設業界の再編。建設会社が不動産のローン販売を行うため、資本強化を行う。資金に余裕があれば、建設会社は他企業の物件を購入し、自社のネット・ワークで販売ができる。
不動産ローンの経理は、SPE(一物件のために設立した独立会計法人)方式で行われる。このSPEはこれから、独立した債権として物件から離れた取引対象となって売買される。
建設業界は一種の失業対策だから、金融危機のしわ寄せを理由に停滞させることはできない。政府は建設業の経済成長率を八・五%と見積もり、未熟練労働者の消化を一手に行う考えだ。
インフラ業界も建設業と同じ。インフラ協会の政府巡礼は、年中行事となっている。陳情内容は百億レアルのインフラ基金を設立し、公立銀行と年金基金が大口出資者となる。この基金をてこに一千億レアルを動かせば、業界は安泰。
CNI(全国工業連盟)は長年の願い「納税期限の延長」が、金融危機によって実現した。財務相はこれまでの強気発言が「経済混乱がいつまで続くか分からないから、経済成長率も分からない」へ変化した。ブラジルは未だ恐慌体験がないので、シッカリ兜の緒を締める必要があるという。