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電気器具のゴミ回収は?=そのままポイは環境汚染=サンパウロ州で啓蒙キャンペーン

ニッケイ新聞 2008年10月30日付け

 「十月三十日は使い古しの電池や携帯電話などの回収日」とのポスターが地下鉄の駅などに貼られているが、電気、電子機器が普及する一方で不要となった電気器具の処理に困った経験も多いのではないだろうか。
 サンパウロ州政府のサイトでは、生活の中で使われる電気器具は多岐にわたり、適切な処置をしないままで一般ゴミとして捨てられると、土壌汚染や水質汚染を生じさせ、人間の健康を損なうことにもなると警告。
 同サイトによれば、二〇〇七年中のコンピューター販売数は一〇五〇万台で、インターネットの利用者も四一五〇万人。一方、平均使用年数は、業務用コンピューターで四年、家庭用コンピューターは五年という。
 また、同様に普及の著しい携帯電話は、五月の時点の使用台数が一億三〇五〇万台。一〇〇人に六八・二台という普及率だが、こちらの平均使用年数は二年足らず。
 逆にいえば、今から二年後には一億台余りの携帯電話が入れ替えとなる訳で、廃棄処分となる携帯電話やコンピューター、テレビ、DVD、CD、蛍光灯など、年間を通じて出る電気器具のゴミ(e―lixo)は五〇〇〇万トンという。
 ところが、これらのe―lixoには、鉛や水銀、カドミウムなどの重金属や、分解されるまで何百年もかかるPVCや燃やすと有毒なガスを排出するプラスチックなどが相当量含まれている。
 重金属が酸性雨などにさらされて地中に溶け出し、川や貯水池に流れ込んだ場合、灌漑用や飲料水に利用された水から、人体にまで取り込まれることは、イタイイタイ病や水俣病などを考えるまでもなく、現実的な話。
 二十九日フォーリャ紙によれば、全国環境審議会(CONAMA)が電池類の回収は販売店に義務付けると決定したというが、同紙や二十八日アゴーラ紙が報じた、三十日のサンパウロ州環境局による回収キャンペーンの対象も乾電池や充電タイプの電池、携帯電話、携帯電話用の充電器など。地下鉄や都電の駅、公園や区役所などに回収用の箱を置くことになっている。
 キャンペーンの詳細や、大型の電気器具の回収については、www.ambiente.sp.gov.br/mutiraodolixoeletronicoなどでも案内しているが、「自然に返すのは、自然が生み出したものだけに」との呼びかけは、自然と共生するための心構えの一つともいえる。

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