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基本金利=米は下げ、伯は上げる=両国通貨に根本的相違が

ニッケイ新聞 2008年10月30日付け

 国際経済が過去最大の混乱にあるとき、米国は政策金利の引き下げへ、ブラジルは一三・七五%の高金利続行の意向を示し、対照的な行き方を見せたと二十九日付けエスタード紙が報じた。
 米経済は第3四半期のGDP(国内総生産)が大きく後退し、殆どの専門家がリセッションにあることを認めた。一方、ブラジルは第2四半期まで六%を維持、下半期もクレジット不足の中、この調子を保持するという見方さえある。
 FRB(米連邦準備制度理事会)の追い詰められた姿勢とCopom(中銀通貨委員会)の強気通貨で戦利品を狙う姿勢は、大きく異なる。
 「伯米両国の姿勢には、追う者と追われる者の相違がある。両国経済を支える構造的違いと中銀の総合政策が、それを明示している。汗と涙の結晶である外貨準備と造幣局などからかき集めた公的資金とは、比較ができない」とカンピーナス大学のカルネイロ経済研究所主任がいう。
 両国通貨の根本的相違は、紙幣発行の基準が違うこと。米国は資本市場の利益を基準とするので、実体を反映しない水増し通貨だ。ブラジルは、超オーソドックス派の超高金利政策で通貨集めを行っている。
 米金融危機の原因は、デフレ・ショックという見方がある。とするとブラジルは、曖昧なインフレ・ショックらしい。ブラジルのような途上国は、日欧諸国のような感覚で基本金利の上げ下げはできない。
 ブラジルの金利は物価への影響が顕著で、暴騰すると抑制が困難になる。それでも中銀のインフレ抑止力は、FRBのそれより機能的と見られている。
 しかし、セーラサンパウロ州知事は、中銀の危機感に疑問を呈した。中小銀行が経営難にある中、まだ金利を上げて銀行を潰しかねないとして「鹿を追う者、山を見ず」と批判した。