ニッケイ新聞 2008年10月31日付け
広島の上空で原爆の強烈な閃光を意味する「ピカッ」の文字を煙で表現した東京の芸術家集団が被爆団体の苦情を受け、謝罪した。
怒りどころか失笑ものだ。苦情は想定できただろう。謝罪するなら最初からやるなと言いたい。表現活動なら、理論武装し、世に問うべきだ。
中国新聞によれば、市美術館の学芸員が「ゲリラ的にやれば」と助言したかどうかで泥仕合―。全くもって嘆息である。
二十六日、サンパウロ市ビエンナーレ会場にスプレーで落書きしたことで逮捕されたグループは、「芸術が商業主義に利用」されていることへの抵抗だと語ったという。
その行為が何の効果を上げるのか。破壊は創造も共感も得ず、反感を生むことは、世界の情勢を見れば分かるだろう。
自称芸術家の精神構造が、昨今の理由も思想もない犯罪者らと似通っていることに慄く。(剛)