ニッケイ新聞 2008年11月1日付け
中銀は中小銀に資金のてこ入れを行い、大手銀行から批判を受けた。一方で政府は、資金流通に協力しない大手銀行を罰する方針を決めた。
ルーラ大統領は十月十五日、大手銀行代表と会い信用市場へ資金を流通するよう要請した。その一週間後、財務省スタッフは投入資金が市場に流通していないと報告。
国際的金融危機はその後、さらに悪化し資金枯渇は深刻となった。銀行や企業の資金不足は、目に余るものがあった。政府が打ち出した危機対策は、効を奏していないことも判明した。
政府は、危機対策の変更を余儀なくされた。預託金の種類に従って、配当付きと無配当の異なる規定を設けた。
例えば一億レアルを預託する銀行は、七千レアルを債権購入に充当していた。債権購入をしない銀行は、そのまま中銀に預託し、Selicによる配当を受け取った。
資金が枯渇する市場に流通することなく、大手銀行にある預託割引金が、二百八十億レアルある。これは、ブラデスコ銀行の上半期営業益の七倍に当たる金額だ。
中銀は懲戒処分として預託金割引の三〇%を配当付き国債で収めさせ、残り七〇%は現金で収め無配当とすることに変更した。七〇%については中銀指令のまま無配当で置くか、いまから中小銀の債権購入へ向うかの選択肢は残される。
大手銀行が二百八十億レアルを国債で預託したなら、年三十九億レアルの配当を受ける。二百八十億レアルは、中小銀行が所有する債権の十%に相当する金額だ。
無配当部分が七〇%へ増えたことで、銀行は遅ればせながら動き出しそうだ。大手銀行は資金を自行で回せば、配当が二一%、CDI(銀行間預金証書)で一五%だ。