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ブラジル政治は二極化へ=同政策だが嗜好分かれる

ニッケイ新聞 2008年11月4日付け

 サンパウロ大学(USP)の政治科学部のアンドレ・シンジェル教授は二日、PT(労働者党)は庶民階級を地盤に、PSDB(民主社会党)は中産階級を代表し、ブラジルは政治の二極化が定着すると述べたことを三日付けフォーリャ紙が報じた。
 サンパウロ市長選では、PTのマルタ氏と、PSDBの支持を得たDEM(民主党)のカサビ氏の公約がほぼ同じであった。これからは党の相違が思想ではなく、徒党的なものになるとして、ブラジルの政治未来図を、次のように観察した。
 ミナス州でネーヴェス知事が仕組んだPT・PSDB連立は、全国レベルでは通用しない地方だけの話。またPMDB(民主運動党)は、都合のよい方へ走り忠実性に欠ける党と位置付けた。またDEMは、PSDBの忠僕となる。
 PMDBは、政治集団であって国民の代表ではない。PMDBは、地方自治体で連邦政府との取次ぎ役として能力を発揮する。その融通性は、右も左もない。PMDBは風が吹く方向へ走り、誰とでも連立を組む。
 PMDBの行き方は民族性を表し、無党派や浮動票集めには都合がよい。PMDBの勝利は、選挙の勝利ではなく政治駆引きの勝利だ。
 大統領選挙は、まだ時間があるので予測が難しい。今度の選挙でいえることは、当初の支持率が低くてもTVの政見放送で世論操作の可能なことが証明された。
 ロウセフ官房長官の場合、政府要人であることが有利にも不利にも働く。これは、ブラジルの有権者が二極化したため。これからの経済動向で、支持率は変化する。〇六年大統領選の決選と〇八年サンパウロ市長選の決選が、その間に起きた変化をよく示している。
 ネーヴェス知事がPSDBから離党し、PMDBから大統領選に立候補するなら、話は別だが。政治家は融通性に富むが、社会や国民の考えは簡単に変わらない。政治基盤が一朝一夕にできるものでないことは、同知事も熟知している。