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デカセギの地域分布は密集地ほど永住者多い=首都近郊と中部で2極化

ニッケイ新聞 2008年11月4日付け

 法務省「登録外国人統計」(二〇〇七年末)によれば、日本で増えている在日ブラジル人で「永住者」資格取得者の地域的な分布は、愛知県・静岡県を中心とした東海地域と、群馬県・埼玉県・神奈川県を中心にした首都近郊および北関東に二極化していることが分かった。
 ブラジル国籍者の最多は愛知県の八万〇四〇一人、続いて静岡県の五万二〇一四人、三位が三重県の二万一七一七人で、三県を合計しただけで、一五万四一三二人と全体のほぼ半分を占める。
 この三県に、周辺の岐阜県(二万〇九一二人)、長野県(一万五七八三人)、滋賀県(一万四三四二人)の三県を足すと計二〇万五一六九人となり、全体の三分の二が在住する〃大デカセギ圏〃だ。
 次に固まっているのは、首都近郊および北関東。この地域の最多は群馬県(一万七一五八人)で、続いて神奈川県(一万四一〇七人)、埼玉県(一万三九五〇人)、茨城県(一万一四〇七人)。以上四県の合計は五万六六二二人。
 さらに栃木県(八五八五人)、千葉県(六〇八七人)、東京都(四五五〇人)を加えた首都圏および北関東圏の合計では、七万五八四四人となり、両地域の合計では二八万一〇一三人となり、全体の八八%を占め、実質的に大半のデカセギは両地域に居住している。
 在住者の中で、永住者資格を取得した人の割合を見ると、興味深いことに密集地ほど永住者の割合が高いことが分かる。
 例えば、全国で最多の愛知県には、永住者が二万九四〇七人もおり三七%にもなる。続いて静岡県の一万六九一三人(三三%)。岐阜県(七〇六〇人、三四%)、三重県(六六五九人、三一%)となり、ブラジル人人口の多いところほど高率になり、少ないところほど永住者比率は少なくなる傾向がある。
 つまり、コミュニティが大きいほど居心地がよくなり、永住志向が強くなる。東海地域だけで永住者は六万六一九〇人もおり、全永住者の七〇%にあたる。この数字は、渡伯した日本人戦後移住者約五万人よりも多いほどだ。
 首都近郊および北関東地域で、永住者比率が高いのは神奈川県の三七%(五二五三人)、続いて栃木県の二七%(二三五三人)、人数上では〃ブラジルタウン〃で有名な大泉町のある群馬県が四二九九人(二五%)となっている。この地域合計では二万〇一二七人で、全永住者の二一%。
 両地域の永住者で九一%となることから、密集地ほど永住者が多い傾向はここでも数字に表れている。