ニッケイ新聞 2008年11月5日付け
国内三位のイタウー銀行と同六位のウニバンコ銀行は合併する意向があると三日に発表したと、四日付けエスタード紙が報じた。これで南半球最大、世界ランクで第十七番目の銀行が誕生する。両行の総資産は五千七百五十億レアル、イタウー銀行のロベルト・セットゥバル頭取が新頭取に就任、ウニバンコのペードロ・M・サーレス頭取は経営評議員会長に就任。合併交渉は、十五カ月前にサンタンデル銀行がABN・アムロ銀行を買収した時から始まった。
スペイン系のサンタンデル銀行がオランダ系のABN・アムロ銀行を買収し、外資系の牙城が築かれたことでブラジル系国際銀行の設立を思い立ったとモレイラ氏が語った。これも金融危機がキッカケという。
銀行再編の機運には、金融危機が大きく影響した。金融取引の流れが派生金融商品へ移ったことで、小規模銀行が取り残される懸念が生じた。また株主対策でも、銀行再編が取り沙汰された。
両行の出資率は半々。合併の目的は、銀行業務の国際化。まず中南米各国に進出し、その後、途上国へ支店網を広げる。今のところ、支店の閉鎖も、行員の人員整理もしない見込み。今後、両行のITシステムの統合を進めていく予定だ。
銀行関係者は、ブラジルの金融システム強化が時代の要求と見ている。対外的にも、銀行再編は資本構成の完ぺき化を表わす。これが金融危機の申し子なら、教訓を有効に生かしたのだ。
しかし、金融危機に際し流通量が枯渇した国内クレジット市場を傍観した、中央銀行に対する批判は厳しくなる。ブラジル経済が正常に機能するため、市場に潤滑油を注ぐのが中銀の役目だ。
デウフィン・ネット元財務相は、両行の合併で金融システム強化に拍車がかかり、金融市場の流通量不足を緩和することになる。資金を流通させなかった大手銀行が、資金を放出するという。
銀行再編による業務集中方式が、銀行間の妥当な競争を歪めることはないと同元財務相は見ている。今回の金融危機で「百年に一度の津波」という言葉が、流行語になっている。
マンテガ財務相は、「〇九年は経済環境が激変し、流通量不足が深刻化する。しかし、銀行は寡占主義から脱け出せないでいる。再編は時代の趨勢で、小さな国内市場で競い合っていないで、国際社会へ出よというのが政府の方針」と表明している。