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ブラジル・日本の小百科=百周年=両国の子供たちに向け=日語でブラジル、ポ語で日本紹介=伊藤さんが支援呼びかけ

ニッケイ新聞 2008年11月6日付け

 麻生太郎首相(日ブラジル会議員連盟会長)や谷垣禎一衆議院議員(日葡国会議員連盟会長)はじめ、民間企業や教育界などの著名人で構成する日本・ブラジル文化交流実行委員会は、移民百周年を記念して、ブラジル語版日本小百科『JAPAO』と日本語版ブラジル小百科『やさしいブラジル―子どものための小百科―』を発行するプロジェクトを進めている。同委員会の伊藤玄二郎さん(関東学院大学・人間環境学部現代コミュニケーション学科教授)が二日来社し、内容を説明した。
 ブラジル語版は、日本の自然や歴史、文化、日々の暮らしなど、その全体像をブラジルの子どもが簡単に理解できるように編纂。リスボンであった海洋博覧会にちなんで九九年に刊行した宗主国ポルトガル語版(ペドロ・カナヴァーロ・三木卓・伊藤玄二郎編)を基本にしている。
 日伯交流年認定事業、国際交流基金日本理解促進出版助成プログラムとして、一万部を発行。来年四月ごろに、ブラジルの公立学校などの教育機関に配布する予定。
 日本語版小百科でも、ブラジルの自然、歴史や文化、産業、日々の暮らしなど、日本の子ども達がブラジルの全体像を理解できるように、写真や図版などを使って編纂する方針。編纂費用は一億二千万円。今後、ブラジルの進出企業などに協力を求め、計画を具体化させていく。予定では三万部を発行し、日本の小中学校などに配布する。
 両百科とも、B5番の全カラー、全二百五十六ページ立て。〇五年には同様のプロジェクトで、フィンランド版も発行されている。
 伊藤さんは「今年が移民百周年であっても、南米やブラジルのことを知らない日本の学生や子どもはとても多い。この小百科が両国を理解するための教育の一助になることを期待したい」と述べ、プロジェクト実現に向けて、日系社会や日系進出企業からの幅広い協力と支援を呼びかけている。
 なお、同委員会では、日伯文化交流促進プロジェクトとして、来年九月ごろ、リオとサンパウロで、京都大原に本拠地を置く「大原魚山声明研究会」と、女優による芥川龍之介作の『蜘蛛の糸』の朗読の共演を計画している。解説付き。現地の民族音楽と「声明」とのコラボレーションも予定している。