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〃移民の父〃の生涯描く=サンパウロ市=「ブラジル移民の創始者 水野龍」本紙が出版=息子、龍三郎さんも祝福に

ニッケイ新聞 2008年11月6日付け

 〃移民の父〃水野龍の生涯を書いた「ブラジル移民の創始者 水野龍(テレザ・ハツエ・デ・レゼンデ著)」が、百周年を記念してニッケイ新聞社(高木ラウル社長)から出版された。宮坂国人財団協力。出版記念発表会が四日夜、サンパウロ市のSESCヴィラ・マリアーナで行われ、著者のテレザさん(63、二世)はじめ日系団体関係者など約百人が訪れた。水野龍の息子、龍三郎さん(77)もクリチーバから駆けつけ、出版を祝った。
 同書は昨年十月に発行された「上塚周平伝『荒野の人』(能美尾透著)」に続いて、ニッケイ新聞社の百周年記念事業として出版された。
 水野龍に関して研究を行っているテレザさんは、一九九一年に水野龍に関した本を出版しており、今回第二版として出版。本文のポルトガル語百四十三ページに加えて、日本語四十八ページで水野龍略伝(龍翁会経過報告)が掲載されている。
 出版記念会の最初に、今年六月十八日に日本で放映された水野を取り上げたNHK歴史情報番組「その時歴史が動いた」を観賞し、水野龍について知識を深めた。
 続いて、著者のテレザさんと龍三郎さんが舞台に上がり、水野の生涯について対談した。
 あいさつに立った高木社長は「水野龍がいなかったら、ブラジルの移民は成り立たなかった」と賞賛し、「水野龍の業績を紹介できて良かった」と喜びを表した。
 龍三郎さんは、父親についての本が出版されたことに関して「父は多くの人からインチキした、移民からお金をかっぱらったと言われていたが、NHKをはじめ、同書では本当のことが書かれていて良かった」と感想を述べた。
 テレザさんは「約二十年間行なってきた水野龍の調査を発表できて満足している。この本を出すことにとても重要な意味がある」と充実した表情を浮かべた。
 最後には、多くの人がサインを求める列ができ、テレザさんと龍三郎さんは一冊一冊丁寧にサインをしていった。
 同書は一冊三十五レアルで二千部発行。ニッケイ新聞社または各日系書店で購入可能。また、今年中にクリチーバ、ロンドリーナ、マリンガなどでも出版記念発表会を行う計画にしている。