ニッケイ新聞 2008年11月8日付け
政府は六日、経済活性化を促し金融危機の影響を制御する数々の方策を盛り込んだ、包括案を発表と七日付けエスタード紙が報じた。主な内容は二四〇億レアル分の追加融資と、企業への納税期限の延期。この包括案は、米発金融危機のブラジル経済への影響を軽減し、来年度の経済成長四%を堅持、〇九年には五%に戻すものだとマンテーガ蔵相はのべた。
新包括案は、〇九年度の経済成長四%を確約するので、「悲観論者は恥をかくだろう」とルーラ大統領はいう。四%達成のためにはあらゆる政策を講じて景気を支え、雇用と所得を保つとした。
これは、経済発展審議会(CDES)に出席した企業家へ伝えた、大統領と財務相の公約だ。労組は使命として雇用の保持に努め、企業は生産と販売に勤しむべきだと宣告した。
同案には、ブラジル銀行による自動車関連ローン会社への融資(四〇億レアル)、社会経済開発銀行(BNDES)の大企業向け運転資金や貿易のつなぎ融資(一〇〇億レアル)、中小企業向け運転資金融資(五〇億レアル)が含まれている。
労働者支援基金(FAT)の評議委員会は、零細小企業と小農向け融資五二億五〇〇〇万レアルの拠出を発表した。さらに融資を年末までに、政府当局者と共同促進する小委員会を設立した。
大手銀行への流通一任を排し、市場への即時流通と資金管理を政府当局が行う。同時に金融危機後、市中金利が四%高騰したことで資金コストの削減も中銀に一任せず、当局が資金流通メカニズムの研究を行う。
ブラジルの経済成長維持という意味では、三〇%も三五%もの融資拡大は必要ないが、一五%から二〇%の拡大は必要だ、と財務相はいう。総力をあげれば〇八年の五%成長も可能であり、たとえ〇九年に四%に落ちたとしても、一〇年には五%に回復する、と財務相は楽観する構えだ。
外貨準備高は、四〇〇億ドルを為替介入のために切り崩したが、残高はそれほど減っていない。九月十七日には二〇七九億ドルだったが、十一月四日には二〇四四億ドルになったのみ。それに加えて、FRB(米準備制度理事会)との通貨スワップ分が三〇〇億ドルもあるとの数字を公表し、メイレーレス中銀総裁は、実体経済の堅調さを知らせた。