G20金融会議=発言力増強望むブラジル=新ブレトン・ウッズ体制で
ニッケイ新聞 2008年11月8日付け
EU委員会のラガルデ仏財務相は六日、サンパウロ市開催のG20金融会議で、ブレトン・ウッズ体制改革に関するEU案に合意を求める意向と七日付けエスタード紙が報じた。ブラジルは、金融危機を克服するための新世界金融秩序において、発言力を増す交渉を会議の中でしていくと見られている。
ブレトン・ウッズ体制とは、連合国側が一九四四年に米国で開催した会議で決定した国際金融システムのこと。国際通貨基金(IMF)、国際復興開発銀行(IBRD)を設立し、この二機関を中心に、ドルを基軸通貨とする多角的な世界貿易体制を目指し、為替相場の安定が計られた。
同財務相は、サンパウロ市開催のG20金融会議で討議された決議内容を、十一月十五日のワシントン首脳会議へ提出する。八、九日開催のG20金融会議にはIMFのカーン専務理事も出席する。ワシントン会議は、今回の米金融危機の再発を防ぐためグローバル金融の一律化を論じるのが目的。
同相はEU委員長のサルコジ大統領代理として八日、ブラジルを訪れた。同相は金融システムに携わる銀行や保険会社などを管理する統轄機関へ、厳しい会計制度や登録制度、リスク格つけ制度のチェック要求を容認するかを打診する。
ブレトン・ウッズ体制が時代の変遷に追いつかないため、根本的な改革が必要になった。この機会に新ブレトン・ウッズ体制を再構築する考えのようだ。
制度や機構の改革ばかりでなく、投資家が納得する金融システムの透明性も必要。タックス・ヘブンとヘッジファンドのような無統制な金融市場オペレーターとの関係は、国際法の整備問題もあり放置状態にあった。
EUの改革案は、オバマ新米大統領を視野に入れたものだとの話もある。金融危機が表面化して以来、米国の金融市場や経済システムは機能不全に陥っており、適切な対処策を打ち出せないままだ。
「早急に、世界の金融市場を管制下に置く必要がある」というEUの論調は日々強まっており、今回の会議を機会に、欧州主導で危機を乗り切ろうする意気込みが伺えるようだ。
BBCブラジル七日付けによれば、開催国であるブラジルは新興国を代表して、新世界金融秩序の意思決定に、新興国の声をより強く反映させる仕組みを作ることを、この会議で求めるつもりだ。