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金融危機=サンパウロ州製造業で解雇始まる=不況への予防措置=経営者は恐慌に備える=個人の債務不履行も急増

ニッケイ新聞 2008年11月15日付け

 サンパウロ州工業連盟(Fiesp)は十三日、金融危機の影響によりサンパウロ州の製造業で人員整理が始まり、債務不履行が増加と発表したことを十四日付けフォーリャ紙が報じた。例年ではクリスマス特需で大量の臨時採用が行われる十月、雇用水準が前月比〇・四一%減、一万人が解雇された。これは過去五年で初めての現象。Serasa(銀行業務サービス会社)によれば、十月の債務不履行が前月比四・九%増加した。
 米金融危機のボディブローが、製造業界に表れ始めたようだ。九月までは雇用が前月比〇・四八%増え、新規採用は年間で七・二八%増の十五万九千人であった。それが十月の季節調整を考慮すると職場が、〇・一三%も減った。
 Fiesp調査部によれば、雇用水準の低下は実体経済の結果というより、これから起きる不測の事態に備えた予防的措置らしい。調査部が奇異としたのは、年末の書き入れ時が始まる十月に人員整理を行ったこと。これは債務不履行の増加が、動機と見ている。
 ブラジル経済は、ゆるやかな坂道を下っているようだ。第一の現象は、クレジットの払底とコモディティの下落。次の現象は、産業活動の減速と人員整理とされる。
 兆候は九月、すでにあった。ブラジル地理統計院(IBGE)が九月、全国の六大工業都市で雇用が前月比二・二%減と発表したことだ。労働市場は九月、減速経済と高金利のためにゆるやかな後退期に入っていた。それを米金融市場のパニックが増長し、雇用傾向を一気に悪化させた。
 Fiesp調査部が、人員整理をしなければならないような消費や生産の落ち込みはないという。企業経営者が長年の経験から、米発金融危機がもたらす未曾有の景気悪化に備えた警戒心がさせたと説明する。
 Serasaは十月、個人の債務不履行が前月比四・九%増と発表した。前年度比では六・九%増。十カ月間の累計で、前年度比七・五%増。昨年の前々年度比は、僅か〇・三%であった。同社は債務不履行が、九月中頃から急増と説明した。