ニッケイ新聞 2008年11月18日付け
サンパウロ市のサーラ・サンパウロで十六日夜、第六回黒人杯授与式が行なわれたと、十七日フォーリャ紙が報じた。同授与式は非政府組織アフロブラスと同組織設立の大学Unipalmaresの共催で、ブラジル発見五〇〇年記念の二〇〇〇年が初回。今回は、黒人解放令一二〇年の記念と、二十日の「黒人の意識向上の日」祝賀を兼ねた。
黒人杯は黒人社会のオスカー賞ともいわれ、テレビ番組「A Favorita」出演のミルトン・ゴンサウヴェス氏や歌手のサンドラ・デ・サー氏、歌手でサンパウロ市議当選のネッチーニョ・デ・パウラ氏、米国人歌手のビリー・ポール氏など、内外芸術家を表彰した。
一方、同組織サイトによれば、今年の表彰者選考基準は例年とは趣を異にし、人種の多様性や黒人の権利擁護に功績のあった要職者も表彰。主な人物は、ミゲル・ジョージ商工開発相、フェルナンド・ハダデ教育相、エディソン・サントス人種平等政策局長、カルロス・アイレス・ブリットならびにジョアキン・バルボーザ両最高裁判事、マリア・エレーナ・ギマリャエンスサンパウロ州教育局長、ジルベルト・カサビサンパウロ市長など。
オリンピックの体操のダイアネ・ドス・サントス選手や走り幅跳びのマウレン・イガ・マッギ選手と、トレーナーのネリオ・アウフレッド・モウラ氏なども表彰された。
途中、米国のオバマ次期大統領や、六〇年代の国民的歌手ウィルソン・シモナウ氏、六月十四日死去のリオのジャメロンことジョゼ・ビスポ・クレメンチノ・ドス・サントス氏への表敬の時もあり、シモナウ氏の子息二人や歌手のレシ・ブランダン氏達が両氏を追悼する歌を披露したりした。
式典会場のあるサンパウロ市には三三〇万人の黒人系住民が居るが、一五三〇年以降三〇〇万人以上の黒人が奴隷として連れて来られたブラジルでは、自由を求めた黒人が形成したキロンボと呼ばれる集団社会が現在も三五二四カ所残り、九七カ所は国立植民農地改革院も承認。パルマーレス文化財団認可を受けたキロンボは一二四八で、サンパウロ州内に四一。
黒人の歴史などを教えることを義務づけた法律遵守は未徹底だが、黒人文化を残し継承しているキロンボの価値を認め、ブラジルの歴史や文化に果たしてきた黒人の役割を考えるための「黒人の意識向上の日」も近い。