G20金融会議=ブラジルはこう見る=G8の柵は削除されたか
ニッケイ新聞 2008年11月18日付け
ワシントンで開催されたG20金融会議は十四日、システムの管理強化や取引の透明化、銀行役員賞与の計算法、国際通貨基金(IMF)や世銀の改革などを盛り込んだ、四十七項目にわたる救済案で合意と十六日付けフォーリャ紙が報じた。
会議に出席したルーラ大統領は「世界の政治地図が塗り替えられた。ドーハ・ラウンドにG20代表が全員支援するなど、六カ月前には想像もできなかったこと」と満足の意を表明した。
「これは、国際政治の歴史に記念される日だ。G8はお祭りになり、世界経済の行方を決定するのに、二十カ国へ打診することになった」ことが、収穫であったと大統領は評した。
かつては横柄であった先進国首脳が同じ茶を飲むようになり、政治家として円熟した。これからは問題を容易に解決できると、大統領は実感したという。
EUで深刻化している失業問題について、大統領は、同様の問題がブラジルで起きることへの懸念を隠さなかった。金融危機が更に悪化し、輸出が落ち込むなら、世界は恐慌時代へ入る。最悪の場合、投機から起きた金融危機が生産部門の成長を妨げることが考えられるが、生産部門が止まってしまえば、庶民から日用の糧を取り上げることになると訴えた。
一方、G20合意案は、新鮮味も革新的なものもない。既存の規律を厳格に守るだけのもの。しかし、疑問は中国と先進国間で暗黙の協定が交され、微妙な関係が生じたことを誰もが感じた。
次にオバマ新米大統領が就任し、金融危機の火元とされる投資銀行の新管理基準を打ち出すことへの不安。それはG20の認識とは、予想外のことかも知れない。
G20と同時にニューヨークで銀行会議が開かれた。そこでは、銀行が、政府に対し無条件降伏を宣言。銀行会議の結論ではG8をG20に改革し、ブラジルや中国にも国際責任を負わせる要望らしい。