ニッケイ新聞 2008年11月18日付け
米国ワシントンで十四、十五日に開催された金融・世界経済に関する首脳会合に出席した麻生太郎首相は十四日午前十一時から五十分間、ルーラ大統領と会談を行なった。
日伯首脳会談は今年七月、北海道・洞爺湖サミット出席のため訪日したルーラ大統領と福田康夫前首相との間で行なわれて以来。
外務省広報によれば、会談の冒頭麻生首相から、皇太子さまが今年六月に百周年式典出席のため来伯された際のブラジル政府の協力に謝意が述べられ、ルーラ大統領は首相就任へ祝意を表した。
会談でルーラ大統領は、金融危機の実体経済への影響を避けるためにも、当面は十分な流動性を確保することが重要であると述べた上で、投機的マネーの動きを規制することの重要性を指摘。今後はIMFや世界銀行のあり方を見直し、より多くの国がこれら機関の決定に参加することが重要であると述べた。
これに対し麻生首相は、今回の会合ではブラジルを始めとする新興経済国と協力しながら、世界経済の課題の解決に努めるべきと述べた上で、新しい金融商品等に対し国際的協調の下で適正な規制を行うことの必要性、及び世界の現状を反映したIMFの見直しの必要性を指摘した。
ルーラ大統領からは、このような時期であるからこそ、WTOドーハ・ラウンドの早期妥結を含め貿易投資の一層の自由化を進めていくべきとの意見が述べられ、首相も全く同感であると述べた。
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日伯の二国間関係については、リオデジャネイロ―サンパウロ間の高速鉄道計画に関し、ルーラ大統領は日本企業の入札への参加に期待を表した。麻生首相も同案件を重視しているとし、両国間で協力していきたいとの考えを示した。
デジタルテレビ放送についても意見が交わされ、両首脳が日伯間の協力関係を一層強化していくことで意見の一致を見た。大統領からはまた、今後日伯間の貿易投資を更に拡大することへの期待の表明があった。