ニッケイ新聞 2008年11月18日付け
日本の国を守る自衛隊が腐りきっている。兵士から幹部将校に到る制服組の言動は目に余り、国民が恥ずかしがるような破廉恥な犯罪も多い。防衛天皇と呼ばれた事務次官の守屋武昌被告は、賄賂を受け取ったの収賄罪で懲役2年6ヵ月の実刑判決があったばかりだし、航空幕僚長の母田神俊雄空将は政府見解を否定する論文を発表し辞職するなど不祥事が次々と続く▼そんなスキャンダルを嘆いていたら今度は、セクハラで空将補更迭の記事が飛び込んできた。第1術科学校(浜松)の校長・宮下今朝芳空将補が、部下の女性に猥褻な行為をしたのが判明したのである。内局の調べに本人も事実関係を認めている。だが、更迭したのは9月18日なのに、どういうわけか防衛省は、この更迭をマスコミに知らせなかった▼防衛大学を卒業し制服組のトップに近い空将補にまで昇進した俊英なのにセクハラという下卑て卑猥な行為とは真に以って情けない。これでは光り輝く肩章が泣く。と、航空自衛隊の不見識ばかりを上げてきたが、海自のイージス艦情報の漏洩もあるし、インテリジェンス関連の事件もある。陸上自衛隊の状況も同じである▼露(ソ連)の諜報員に機密資料を渡した自衛隊幹部がいたけれども、これを罰する法律がなく、窃盗罪かの軽微な刑罰しか下せないのが現状であり、法的な整備を急ぐべきは論を待たない。スパイ防止法であり、これがないのは日本だけと言っていい。こんな論議をすると、すぐに軍事国家とかの批判が出てくるけれども、これは喫緊の重要事なのであり、もっと真剣に議論すべきではないか。 (遯)