ニッケイ新聞 2008年11月22日付け
中央銀行は十九日、四回にわたりドル介入を行ったが、急激な為替変動を抑えるに至らず二・五八%上げ、二・三八五レアルに付けたと二十日付けエスタード紙が報じた。米金融危機が表面化した九月中頃から十九日までに、三四%のドル高変動があったという。
市場関係者は米経済の混迷が反映したものとし、特にロシアとトルコの新興国経済に深刻な打撃を与えているという。ブラジルでは派生商品取引を行った企業が、為替欠損を決済するため、さらに苦境へ陥っている。
ドル高傾向が定着した現在、為替水準が二・一〇レアルから二・二〇レアルであった時には余り動じなかった企業も、状況の変化を心配し始めた。かつてはレアル通貨の過当評価に悩まされ、今度は過少評価に悩まされそうだ。
コモディティ輸出が主産業である国々は、金融危機で産物の相場が暴落し、輸出による歳入と通貨水準の下方修正を余儀なくされている。
またレアル通貨の下落が中銀の思惑を離れた投機的な動きを呼び、スワップ取引(債権や債務の交換)に影響を与えている。折角の通貨交換やドル介入による効果を損ない、中銀が介入すべき適量判断を狂わせる。
一方、工業部門は十一月、年頭の過熱需要と、過去二カ月に急速に進んだドル高が、ダブルパンチとなって、過去三年間で最高となる累積インフレ率を記録した。
FGV(G・ヴァルガス財団)の調査によれば、十一月前半での過去十二カ月のIGP―M(市場物価指数)は一六・三六%上がっており、鉄鉱石価格が七一・五%調整された二〇〇五年のインフレ率(二月に一七・五一%を記録)に次ぐものとなっている。
工業部門のインフレは〇八年上半期、緩やかにに押し上げた。しかし、過去二カ月のそれは、投石器で打ち上げたように急激に変動したとFGVが発表した。このような急激な環境変化は、長い間なかった。為替率は今後、二レアル以下に下がることはないと、FGVは見ている。