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日系派遣社員の解雇急増=浜松では救済団体設立へ

ニッケイ新聞 2008年11月22日付け

 【静岡新聞】米国の金融危機に端を発した世界的不況の直撃を受け、製造業で派遣社員として働いている日系人の契約打ち切りが静岡県内でも急増している。母国に帰国できず、仕事を探し回る日系人たち。苦境に立つ浜松市の日系ブラジル人の間に、失業したブラジル人を救済しようという動きも出始めた。
 「ブラジルへ帰るための飛行機代もない」―。浜松市中区のハローワーク浜松(浜松公共職業安定所)を訪れた日系ブラジル人の女性(32)は表情を曇らせた。飛行機代がたまれば帰国するつもりだが、二カ月間、職を探しても見つからない。妻子と暮らす別の日系ブラジル人男性(34)は「子どもが大学に入るまでブラジルに帰れない」と相談の順番を待つ。
 同所には連日、職を失った日系人らが押し寄せ、相談件数は昨年度の倍に上る。県西部の外国人派遣社員が多く加入する労働組合支部にも、解雇通告を受けた日系人の派遣社員が毎日のように相談に訪れる。同市中区のプレス加工の町工場には外国人が「仕事はないか」と直接訪ねてくる。
 同市を拠点に取材活動を続けている在日ブラジル人向け雑誌の記者、樋樫マリさんは「家賃を払えず、ホームレスになるブラジル人も出始めた」と危機感を強める。
 このような状況を受け、浜松市内の日系ブラジル人らが失業者救済の団体を十一月中にも設立することになった。「日本人の人手が足りていないサービス業や農業はどうか」「ブラジル人が日本語を学ぶための支援を」―。十七日の準備会では、日本人を含めたメディア関係者や市議、企業経営者ら十五人が、ブラジル人が働ける新たな雇用を作り出そうとさまざまな意見を出し合った。中心メンバーで日系二世の座波カルロスさん(44)は「どうすれば大変な時期を乗り越えられるか。失業が治安の悪化にもつながる。ブラジル人が自立するための支援をしたい」と、日本人にも協力を呼び掛けている。