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ヒガキ被告に禁固4年判決=浜松の女子高生ひき逃げ事件=賠償・社会奉仕を義務付け=控訴の有無今週中にも

ニッケイ新聞 2008年11月25日付け

 一九九九年七月に静岡県浜松市内で当時女子高生だった落合真弓さんがひき逃げされて死亡した事件で、サンパウロ市サウーデ区の州地方裁判所は二十一日、業務上過失致死と救護義務違反の罪で、日系人ミルトン・ノボル・ヒガキ被告(33・サンパウロ市在住)に禁固四年の判決を下した。二十四日、エーリオ・ナルバエス担当裁判官とマリオ・ルイス・サフーボ担当検事がニッケイ新聞の取材に応じた。サフーボ検事は「判決に大変満足している」と述べ、控訴しない意向を明らかにした。弁護側が控訴するかは近日中に明らかになる見通し。
 冒頭、ナルバエス裁判官は「刑が重たいか軽いか言える立場ではないが、調書を見る限り被告の罪は悪質」と言明。求刑四年のうち、業務上過失致死罪のブラジル刑法上最高となる三年とともに、被害者への救護を怠った罪で一年を加算した。
 被害者家族への賠償として、ブラジルの最低給与百八十カ月相当分(約三〇二万円=一レアル四十円計算)の支払いを命じるとともに、サンパウロ市内の福祉施設での社会奉仕活動を義務付けた。
 二十一日の裁判は被告・弁護人ともに出廷しなかった。弁護側は今回の正式な判決文が被告に手渡されてから五日以内に控訴する権利がある。サフーボ検事は「弁護側も判決をおそらく知っているだろう。控訴はあり得る話だ」と説明。遅くとも控訴の有無は今週中には判明するという。
 弁護側が仮に控訴しない場合、結審となる。被告は週に一度、四年間にわたり障害者や子ども向けの福祉施設などで奉仕活動に務めるとともに、賠償費を支払い続けることになる。また、三年間は自動車の運転が禁止される。これらの義務を怠った場合に四年の禁固刑となる。
 結審となれば、来月早々にも賠償費の支払いと社会奉仕が執行されるという。賠償費の支払いは分割払いが可能で、ブラジルの銀行に振込み、そこから日本の被害者家族に送金されるという。
 ナルバエス裁判官は、弁護側がサンパウロ州高等裁判所に控訴し、その申し立てが認められた場合でも、「来年初旬には新たな判決が出るだろう」との見解を示し、裁判の長期化を否定した。
 加えて「私は裁判の書類を手渡されてから十日間以内に判決を下す必要があったが、一日目に全文に目を通し、二日目に判決を出した」と強調。ブラジル側の司法当局として、誠意ある対応をしたと力を込めた。
 当初、同裁判の担当裁判官にアントーニオ・アウバロ・カステーロ裁判官が任命されていた。現在、同判事はサントスの裁判所にいるという。
 同事件は、日本政府の要請に基づく一連の代理処罰(国外犯処罰)で初めて公判が行われたケースとして、日本側のメディアが取材競争を繰り広げた。サンパウロ州検察局が昨年一月に在宅起訴し、同年二月に初公判が行われ、被告は罪状を大筋で認めていた。