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SC州水害=土砂崩れで犠牲者72人=人災との指摘も=渓谷の治水計画見直しへ=諸市が非常事態宣言を

ニッケイ新聞 2008年11月26日付け

 サンタカタリナ州イタジャイ渓谷と海岸地域を襲った豪雨は二十四日、各地で土砂崩れを引き起こし、犠牲者七十二人と行方不明者三十人を出しながら降り続いていると二十五日付けエスタード紙とフォーリャ紙が報じた。州政府の発表によれば、五万四千人が家屋浸水で避難、百五十万人が停電や断水の影響を受け、州内の幹線道路は通行止め、八都市は孤立化したため救援物資の輸送が困難となっている。
 サンタカタリナ州の四十四郡は、洪水の被害を被り、土砂崩れが各地で頻発している。罹災者は飲料水と食料、ライフ・ラインで窮地にある。一九七四年に百九十九人の犠牲者を出した、惨事に次ぐ災害とされる。
 被災地のガスパルを始めリオ・ドス・セードロス、ブルメナウ、ブルスケ、イリョッタ、チジュッカなどの諸市は、非常事態宣言を発令または準備中。同州のシウヴェイラ知事も、非常時宣言を発令した。
 犠牲者は一人が溺死、他は土砂崩れによる生き埋め。降雨量が最も多かったのはブルメナウ、例年平均の八倍であった。測候所の観測によれば、降雨は二十一日から降り続き、まだ上がる見込みがないという。
 フロリアノポリス経由の国道一一六号線は、南リオ・グランデ州境付近で交通止めとなった。バスやトラックは、パリョッサやビグアスー、アグアス・モルナスへ迂回している。
 土砂崩れでガス・パイプラインが、二カ所も切断された。最初の事故は二十二日、国道BR四七〇号線四一・五キロ地点。漏洩したガスに引火し、民家にも類焼。次は二十三日、ブルメナウでボリビア・ブラジルのガス・パイプラインが破損。地下へ引火し、爆発した。そのため南リオ・グランデ州では、工場へのガス供給が中断。
 イタジャイ・アスー川の水位は先週、四メートルとなった。この時点で水害の兆候に気付くべきであった。これまでの洪水は三十時間かかったが、今回は九時間で市街に川水が氾濫。同川流域は人口が増え、標高の低い場所にも多数の人々が住むようになったため容易に浸水した。
 イタジャイ渓谷はいつも水害に悩まされ、五〇年代にダムを三カ所に建設した。ところがダムの貯水設備が不十分なうえ、森林伐採と道路建設が進み保水が困難となり、自然のシステムが損なわれ、人災の要素が大きいと見られている。