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リオ市の学校で銃器発見=警察の目欺く格好の隠し場=危険な環境下に子供7万人

ニッケイ新聞 2008年11月26日付け

 リオ市のファヴェーラ、モーロ・デ・サンジョアンの全日制公立小学校で十八日、排水管内に隠された銃器や麻薬が発見され、治安当局や教育関係者の不安的中と二十一日G1サイトが報じた。
 同サイトによれば、麻薬密売者らが支配する地域の公立学校が密売者の倉庫や売買の中心地になるとの警告は、二年ほど前から出されていたが、その警告が現実のものとなったのは十八日の密売者摘発中のことだった。
 二十日アゴーラ紙によれば、十五日に行なわれた摘発から逃れた密売者逮捕のために十七日からファヴェーラ在留の警官隊は、十八日に校内に逃げ込んだ密売者を追跡。校長に許可を得た警官達が踏み込んだ時には密売者は逃げた後だったが、校内捜索で発見されたのは、小銃と機関銃各一丁に拳銃一三丁、手榴弾や弾丸、携帯電話に麻薬。
 麻薬密売者の支配下地域の公立学校は二〇〇で半数余りはリオ市内にあり、生徒や教師らが犯罪に巻き込まれる可能性が高い。また、機関銃や手榴弾などの音を耳にし、麻薬を手にした密売者が付近横行という環境で生活する住民の日常は緊張の連続。警察の介入があれば緊張は更に高まる。
 事実、ファヴェーラ周辺の学校では、人質にされる、銃器を持った生徒が教室内に居る、集団暴行、流れ弾による被害などの経験者や経験者が身近に居るという教師が多く、「安全保証は皆無」との言葉も出るほど。治安当局では学校周辺の警備を強化したりしているが、十九日にモーロ・デ・サンジョアンの学校検分に向かった教育委員会関係者は、麻薬密売者に足止めされて学校には入れなかったともいう。
 モーロ・デ・サンジョアンでは、十五日の密売者同士の抗争で六人の死者が出たため、警官隊派遣となっていたが、十八日は学校行事のため警官隊の校内踏み込みも遅れた。警察力が介入し難い学校は、密売者にとって格好の隠し場として利用されていたようだ。
 二十三日エスタード紙によれば、サンパウロ市周辺でも人気上昇中のファンクと呼ばれるジャンルの曲に、犯罪者組織賞賛の句が繰返されているなど、気付かない内に犯罪組織の影響下に置かれていることもままある。七万人といわれる犯罪地域の学童や学校がカモフラージュの手段とされ、悪の温床となる危険にさらされている。

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