ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 最高裁=高等裁判事を裁く=ブラジル裁判史上で前代未聞

最高裁=高等裁判事を裁く=ブラジル裁判史上で前代未聞

ニッケイ新聞 2008年11月28日付け

 最高裁は二十六日、検察庁による高等裁判所パウロ・メジーナ判事に対する刑事告発を受理と二十七日付けエスタード紙が報じた。裁く立場の高等判事が裁かれる被告席に座るのは、ブラジルの裁判史上、前代未聞の出来事とされる。
 告発は、同判事がスロットマシンなどでリースを営む賭博業者に、判決内容で便宜を図ったという容疑。この容疑は〇七年、連邦警察の竜巻作戦で捜査され、同判事の関与が浮上した。
 同判事は公務員法により、職務権限を個人の利益に利用したとして、収賄罪と背任罪で裁かれる。しかし、犯罪組織のへの加担告発は、最高裁によって却下された。
 刑事法廷の公判手続きは、セーザル・ペルーゾ最高裁判事が行う。被告となった判事の行為は、刑事犯罪に足るとする最高裁の見解を発表する。同被告の実弟も、犯罪を仲介した容疑で起訴。
 エロス・グラウ判事の見方によれば、告発が断罪には不十分な内容で、事実の解明を行うだけという。他の発表によれば、同被告は裁判官の一存で賭博行為の可否が決まると表明したという。
 もし裁判官の収賄罪が立件されるなら、十二年以下の禁固と罰金を科せられる。背任罪は一年以下の禁固と罰金。最高裁は、副裁判長二人にも事情聴取を行う予定だ。
 裁判官の犯罪では、服役中のニコラウ・ドス・サントスやジョアン・R・マットスなど法衣から囚人服に着替えた下級判事がいる。他にも下級判事の犯罪は多い。
 サントス元判事は、労働裁判所の建設資金を横領した容疑で二十六年の禁固。その後自宅謹慎となった。マットス元判事は判決の市場販売を行い、アナコンダ作戦で拘束。裁判官の身分はく奪と一万八千レアルの給料差し押さえとなった。