ニッケイ新聞 2008年12月2日付け
鳥取県鳥取市が毎年実施している青年海外研修事業で同市から四人の青年が来伯し、約五日間にわたり、県人会関係者との交流、各地の見学訪問などを行なった。帰国日の十一月二十五日、関係者と本紙を訪れ、滞在の感想を語った。
同事業は地域の将来を担う青年の海外への派遣を通じて人材育成、国際交流を進めることを目的に、一九九〇年から実施。例年は欧州などを訪問しており、今年は百周年を記念して初のブラジル訪問となった。
一行はサントス上陸記念碑や移民史料館などを訪れたほか、ジェトロでブラジル経済・産業について研修、またセアザやエタノール工場の見学、サッカー観戦なども体験した。
到着当日には鳥取交流センターで、来伯の一カ月ほど前から練習してきたという郷土芸能「しゃんしゃん傘踊り」の新しい踊りなどを披露して会員らと交流。二十三日には同センターで開かれた「鳥取ファミリーの集い」にも参加した。
「鳥取をルーツに持つ移民の方たちの考え方がどのように変化してきたのかを知りたい」と研修を希望した福田愛子さん(27)は、「皆さん元気で、やる気がある」と喜んでいた。
滞在中は県人会員宅にホームステイ。大志万学院、希望の家など教育、福祉関連施設も訪れた。
学校給食に興味があったという山下慧李子さん(23)は、セアザ訪問など「いい経験ができた」と話し、会関係者との交流を通し「県人会との関係をありがたく感じた」と述べた。
療育音楽への取組みに関心があったと話すのは、地元の老人ホームで介護福祉士として働く福田康博さん(31)。「日本から一番遠いのに、そんな気がしない」と感想。またサッカー観戦を振り返り、地元チームの応援のヒントになったとも。
教育関係の仕事についていた訪問団長の市谷誠裕さん(27)は、「子供の生活や成長にあわせた教育に感銘を受けた」と話し、「これからも関係を続けていきたい」と滞在を振り返った。
加藤恵久県人会長は、「これから県人会を盛り上げるのは若い人たち。傘踊りでの交流が刺激になったのでは」と話し、「二回、三回と続いてほしい」と交流継続に期待を表した。