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下院倫理委員会=パウリニョの議席はく奪却下=まずは労組に軍配=連警と最高裁は審理続行=「メウ・グリ」に捜査のメス

ニッケイ新聞 2008年12月5日付け

 下院倫理委員会は三日、パウリニョ労組理事長ことパウロ・P・シウヴァ下議(PDT=民主労働党)のBNDES(社会開発銀行)交付金横領による議席はく奪告発を却下と四日付けエスタード紙が報じた。同件は今後、同下議の妻エウザ・ペレイラ容疑者のみが、連邦警察による交付金洗浄の捜査対象となる。労組へ流れたとされる交付金と労働者支援基金(FAT)の資金は、最高裁が引き続き審理を行う。
 シウヴァ下議の議席はく奪審議は、十対四で却下が決まった。パウロ・ピアウ下議(PMDB=民主運動党)上程の交付金横領の組織犯罪摘発を支持した委員は、四人に過ぎなかった。
 最高裁で審理中の公金横領二件については、ジョゼ・C・アラウジョ下議(PR=共和党)が同下議の放免見解書を上程する予定。労組の政治力は侮れないようだ。労組の根回しも周到。
 ブラジリアの労組行きつけのレストランでは、同下議と関係者三十人が祝杯を挙げた。同下議は「再度議席はく奪を試みる者を洗い出し、二〇一〇年までに政界から葬ってやる」と宣言した。
 労組の電柱作戦は、電柱のビラ貼りで政治家を失脚させる労組の得意技だ。「パウリニョに手を出す者は、労組に手を出すこと」として労組関係者は団結を示威した。
 「労組は全国的組織だ。労組を代表する下議は全国を代表し、地方選出の下議とはわけが違う」と同下議が述懐。同件は六カ月も議論され、労組の力を見せる機会が無かったが、今こそ目にものを見せるという。
 同件は一つの山場を越えたが、連警は引き続き下議の妻エウザ容疑者を不正資金隠蔽の刑事犯として追及する。同容疑者が代表を務めるNGO「メウ・グリ」は、青少年の就職を斡旋する趣旨だが、実際は有名無実で実績皆無の団体。
 連警のサンタテレーザ作戦は執行中だ。裁判所は「メウ・グリ」の銀行明細開示を許可した。「メウ・グリ」は、パウリニョ配下の労組幹部による資金洗浄の隠れ蓑であることが判明した。
 さらに最高裁が審理する資金二つの流れは、労組に対する解明ではなく、同下議個人に対する審理であって、同下議が訴える政治的抑圧の有無を調べることになる。