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為替変動=過去10年で最高額=11月のドル国外流失
ニッケイ新聞 2008年12月5日付け
中央銀行は三日、十一月の外貨収支差額が七十一億五千九百万ドルと発表し、過去十年の最高流失額だと四日付けエスタード紙が報じた。
ドルの流失は、投資家の株や債券売却による資金で本国の赤字決済のための送金が、最大となっている。また外貨建て債務を有する企業のドル高騰を恐れた、前倒し決済も増えている。
中銀はドル流失が、ブラジルや近隣諸国の間で資金の流れ好転を試みるとき、冷水を浴びせたと報じた。十一月のドル流失は、前月比で五四%増の勢いであった。
多国籍企業は本部あっての支部であり、本部安泰が至上命令だから、本部送金は当分様子を見る必要がある。これはブラジル支社の流動資金までも、本部へ送金していると見られている。
外貨建て債務を持つ企業は、十二月分の支払に予定外出費を余儀なくされた。為替相場は、まだドル高騰傾向が続くと関係者は見ている。
為替動向は貿易黒字の三十一億四千万ドルがあるから、最悪事態には至らなかった。ドル高騰で輸入も激減し、消費市場の輸入品価格は前月比九五%の調整予想だ。
中銀は三日、二回にわたり五億三千万ドルの為替介入を行った。輸出金融も合わせると、二十億ドルになる。それでも三・五一%上がり、二・四七五レアルだ。
為替変動には、三つの要因があると銀行が見ている。一はドル建て債務の決済が、普段の二十億ドルから七十億ドルへ激増したこと。二は多国籍が年末、ドルを貯めこむこと。三は輸出業者が、金融危機のためドル債務を決済できないでいることが挙げられている。