ニッケイ新聞 2008年12月9日付け
サンパウロ州ポンペイアにある西村農業技術専門学校の第二十五期卒業式が六日夜、同校の体育館で行われた。サンパウロ、パラナ、トカンチンス、ゴイアス、バイーアなど各州出身の二十人が卒業、家族や学校関係者を含む約七百人がそれぞれの旅立ちを祝った。同校は一九八二年に創立、優秀な人材を輩出する実業校として知られる。今期卒業生を含め八百十八人が卒業、様々な分野で活躍している。三年間の全寮制度が特色だったが、希望者の減少などにより、来年の卒業生が最後の寮生となる。
紫のストライブのネクタイを締めたスーツ姿の卒業生が母親と腕を組み、入場する姿に会場からは、大きな拍手が送られた。
生徒らの「ハレルヤ」合唱に続いて、壇上には、同校の創立者、西村俊治さん(97)、今期卒業生の責任者、西村俊氏(たかし、68)、JACTO代表の西村治郎氏(66)を始め、在サンパウロ領事館の田畑篤史副領事、市や警察関係者らが壇上に上がった。
卒業生を代表して中村・斉藤マルセーロさん(17、四世、サンパウロ州カラグアタツーバ市出身)が「卒業するまでの千十四日、家族と別れるのも初めての経験。大変なことが多かったが、友人らとの絆、強さを身につけることができた」と挨拶。来年が最後となる寮制度にも触れ、「とても勉強になったし、いい思い出。できれば続けてほしい」と話し、大きな拍手が送られた。
卒業生のパドリーニョ役でもある俊氏は、「君達は今までの卒業生のなかでも最も優秀な生徒たちだった。三年間の生活で困難を乗り越える力を身につけた」とねぎらい、出席した父兄らにも「皆さんの息子さんはよく頑張った。おめでとうございます!」と祝福した。
成績や授業態度の優秀者らが表彰され、最後に生徒らが三カ月前から作成してきたという「臥薪嘗胆」の文字と西村家の家紋がくりぬかれた木板を壇上で披露、「三年間の経験を生かし、これから頑張っていきたい」と決意を新たにしていた。
あいさつしたマルセーロさんの父で、カラグアタツーバで農業を営むシルビオさん(47、三世)は、「精神的にも強くなったと思う。農業を継ぐかは本人が考えること。自分の人生をこれから切り拓いてほしい」と誇らしげに話し、祖母のヨシさん(76)は、「無事卒業して嬉しい」と立派な孫の姿に目を細めていた。
西村俊治さん誕生日も=「あと数年は大丈夫」
晴れの日に喜びもう一つー。西村農工学校卒業式では、八日に九十八歳を迎えた西村俊冶さんの誕生日も祝った。家族に囲まれ、杖をつきながらも元気な様子の西村さん。
「あと百年は無理だけど、数年は大丈夫」と会場を笑わせ、ケーキを力強く切り分けた。
西村さんは現在も毎日出勤。環境問題にも関心が深く、市民と植樹や野菜栽培のプロジェクトを計画中だという。