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穀倉地帯=不法農薬マフィアが跋扈=中国製密輸品出回る=金融危機で闇ビジネス繁盛か=農薬製造組合が予想

ニッケイ新聞 2008年12月10日付け

 農薬製造業組合(Sindag)は七日、金融危機が農業融資に支障を来たし、ブラジル中西部では農薬の密輸マフィアが跋扈していることを告発と八日付けヴァロール紙が報じた。マフィアは海運会社や単発機、私営空港を所有する大組織。税関職員を贈賄で買収するのは日常茶飯事であり、農薬のほかに麻薬や武器の密売運搬も行う。金融危機は、マフィアにとって絶好のビジネス・チャンスとなっている。
 〇八年から〇九年の農産物収穫には、金融危機のお陰でマフィアが大きく関わることになったとSindagのマリーニ専務が警告した。多くの農業生産者が、マフィアの資金援助で農作物の植付けを敢行中だ。
 組合は生産者に、マフィアの世話になることを警告した。しかし、農村部へマフィアは密かに定着し、害虫のように繁殖している。
 密輸農薬は中国で製造されたジェネリック農薬、品質は定かでないが価格ははるかに廉価だ。パラグアイやウルグアイへ大量に在庫し、ブラジルの生産者へ注文量だけ空路で配達する。
 ブラジル全体では、正規ルートで販売される農薬が四十億ドル。パラグアイ経由で入る密輸農薬は三億ドル、ウルグアイ経由が六千万ドル。密輸農薬が入り始めたのは二〇〇六年。最近は金融危機で、農業経営が苦しいため密輸農薬が急増。
 密輸農薬は売買が犯罪であり、環境や人体への影響など品質の保証がない。中西部の農薬は一〇%が正規の輸入品で入る。九〇%が密輸。店頭に並ぶのは一〇%のもの。売り渡されるのは九〇%の方だ。
 正規ルートの農薬を包装した袋には、当局のスタンプが押してある。使用済みの空き袋は、何度も使うので高価に売れる。使用済み空袋は、当局へ返還が義務付けられているが、そんなことを守る生産者はいない。
 肥料の袋に包装することもあるので、勘違いする。陸路でブラジルへ入るときは、税関が就寝している時間に通過し、国道や国境と州都を結ぶ幹線道路を避ける。または市街から間道を抜けて国道へ出る。密告でもない限り、捕まらない。