ニッケイ新聞 2008年12月10日付け
国税庁は八日、十一月の税収が予測を三十五億レアル下回り、金融危機がブラジル経済を浸蝕し始めたと発表したことを九日付けエスタード紙が報じた。減収が大きいのは、企業の所得税(IJPJ)と営業益納付金(CSLL)、Cofins(社会保険負担金)だ。
これは企業の業績を表わす指標のようなもので、卸売り部門や自動車、石油関係の納税が大きかった。産業のけん引車ともいうべき部門が、落ち込んだことになる。
前月比二十二億レアル減の税収で、財務省は歳出予算表を作成する。最近は毎月、予想を上回った。その風の向きが変わったのだ。
十一月の税収は、金融危機が始まった十月の経済を反映する。金融危機は先ず、企業の営業益を食いつぶし、卸部門を襲った。その後に工業税(IPI)が襲われる。十一月にはドルが高騰したので、企業は輸入原料を極力抑え、三四%減の税収予測がある。
それでもFiesp(サンパウロ州工業連盟)の調査によれば、企業経営者の三六%が、危機を克服すると答えた。悲観的なのは二九%で、三分の一。一七%は楽観し、一三%は自信満々。〇九年の売上は、増加が三九%。現状維持が三六%。減少は二二%に過ぎない。
営業益は現状維持が三九%、増えるが三一%、減るが二九%。雇用水準は現状維持が五五%、減らすが二四%、増やすが二〇%。頭痛の種は税金が六一%、金利が一七%、為替が一四%。
同連盟のスカフ会長は、政府が行った危機対策を評価するという。同会長の見方では、経済全般が落ち込むのではなく、淘汰されるだけだという。同会長は、「基本金利を下げて銀行のスプレッド(銀行間)取引を抑制して欲しい」と政府に要望した。