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第3四半期GDP=金融危機直前に6.8%増達成=年全体では5%程度=第4四半期はゼロ予想も=外的要因に左右される来年

ニッケイ新聞 2008年12月11日付け

 ブラジル地理統計院(IBGE)は九日、金融危機直前までの第3四半期のGDP(国内総生産)が、昨年同期比六・八%増となったことを発表と十日付けエスタード紙が報じた。景況は消費と官民の投資に支えられ、過去四年間の業績を上回った。牽引となったのは建設と採鉱、加工業。ただし、第4四半期は「ほぼゼロ成長」と予想されており、本格的なブラジル経済への影響はこれから数字に現れてくるようだ。
 今年を回想するなら雷鳴に一喜一憂した一年であったが、金融危機までの成長が「六・八%増」だったことは喜ばしい驚きだ。経営者やアナリスト、政府関係者は来年度予測を悲観視しているが、この時点までの数字だけは朗報ともいえるものだ。
 ただし、第4四半期からは耐久消費財の需要落ち込みや建設業界の下方調整、メーカーの在庫整理、集団休暇、来年度農収穫のマイナス三・八%などの報道がされており、実質的に成長ゼロ予想がされており、楽観視はできない情勢だ。
 その中で、ブラジルの金利政策はしばらくは引き下げないとの専門家の見方が強いようだ。高金利が、第3四半期GDPの活力を殺がなかったのは、消費の七・三%と公共投資の六・四%、民間投資の一九・七%という底上げがあったからだ。
 今年最後の四半期で予想されるのは、国内のローン事情の滞りだ。大企業は資金の国外調達を止めて、国内の中小金融を訪ねている。加工業の輸出も熱が冷めた。石油、鉄鉱石などのコモディティ相場は脈がない。ドルの国外流出は止まらない。
 ブラジルは、信用危機を少し輸入したようだ。ブラジルはこれまで、晴天の田舎道で口笛を吹きながら散歩していた。道は急に曲がり角にさしかかり、そこに黒雲が立ち込めていたのだ。
 変化が急なので、みんな予測も反応もできず動転している。為替では大企業が大怪我をして、対応策が見出せないでいる。現在の激変時代、明日のことさえ誰も分からないのが実情だ。
 第3四半期の結果から今年の経済成長率は五・〇%から五・六%と予測されるが、来年度に関しては、外的要因を考慮する必要がある。予測は、オバマ次期米大統領の双肩にかかる。同大統領が米経済の地滑りを止められるなら、ブラジル経済も世界銀行の予想の二・八%を上回る成長が期待できる。