ニッケイ新聞 2008年12月13日付け
【既報関連】財務省は十一日、消費を促進して国際金融危機の影響緩和をするため、緊急対策法案を発表と十二日付けフォーリャ紙が報じた。国税庁は、八十四億レアルの税収減に応じる意向だ。所得税(IR)は中流階級の手取り額を増やすため、新たに二つの軽減税率を設ける。消費者ローン促進のため金融税(IOF)を半減し、自動車の工業税(IPI)も減税する意向とマンテガ財務相が表明した。
不況リスクの到来が益々懸念されることで、財務省は緊急対策法案の作成を急いだ。第一弾は消費者の所得を増やす。そのために国税庁が応じる税収減は八十四億レアル。生活扶助金の百七億レアルよりは少ない。
緊急対策は四部からなり、IRとIPI、IOFの三部は消費者と直接関わる。残りは、外貨準備高を利用して行う、外貨建て債務を有する企業への融資だ。
所得税率は従来の一五%と二七・五%へ、新たに七・五%と二二・五%を加えた。月収千四百三十四レアル以下は免税。千四百三十四レアルから二千百五十レアルま
では、七・五%課税。二千百五十レアルから二千八百六十六レアルまでは、一五%課税。二千八百六十六レアルから三千五百八十二レアルまでは、二二・五%課税。三千五百八十二レアル以上は、二七・五%の課税となる。
自動車を購入する場合、一〇〇〇cc以下は工業税を免税。一〇〇〇ccから二〇〇〇ccのガソリン車は一三%から六・五%へ減税。同アルコール車とフレックス車は一一%から五・五%へ減税。二〇〇〇cc以上は、恩典なし。
消費に歯止めをかけた政策金利の一三・七五%据え置きが発表された一日後に、消費促進の緊急対策を実施するのは皮肉といえそうだ。
不況防止の緊急対策は、来週にも第二弾が発表される。市場の冷え込みを防ぐため、政府は努力を惜しまないと財務相がいう。簡易住宅の建設と購入促進計画も立案中。
財務相は〇九年の経済成長率を、市中で噂する二・五%ではなく四%とする考えだ。そのためGDP(国内総生産)の〇・五%、約百四十二億レアルでソブリン・ファンド(政府出資の投資ファンド)を設立、基礎収支の黒字を達成する。これは外資導入の必須条件。
財務相は〇八年第4四半期GDPが、前月比一%まで下がると見ている。〇九年第1四半期は盛り返し、第2と第3四半期はマイナスで不況色が濃くなる予想。
政府と意向を異にした中銀総裁は、制御管理されたインフレ下の消費促進と但し書きをつけた。来年一月の経済指標に景気後退とインフレ沈下の兆候があれば、政策金利の引き下げがやぶさかでないと述べた。