ニッケイ新聞 2008年12月16日付け
マンテガ財務相は十三日、低所得層向け連邦貯蓄銀行融資の簡易住宅建設案を、〇八年の六十万戸から〇九年は九十万戸へ増強すると、一月に発表する意向だと十四日付けフォーリャ紙が報じた。政府はさらにインフラ投資向けに、社会開発銀行(BNDES)から千百億レアルの融資を受ける予定だ。また経済活性化のため〇九年、経常収支の赤字も覚悟の上で特別予算の財源を模索中であることも明らかにした。
ルーラ政権は、官民合同の簡易住宅五〇%増の建設案を実現へ向けて始動した。政府は十一月までに四十四万六千戸を建設し、二百四億レアルを融資した。年末までに五十万戸を完成し、二百二十八億レアルの融資契約を結ぶ予定だ。
さらにBNDESがインフラに千百億レアルの融資予定、五百億レアルは既に調達済みという。残りの六百億レアルは、いかなる手段を講じても捻出する意気込み。
〇九年の経済活性化のため大量の資金が必要だが、FGTS(勤続年限保障基金)や貯蓄ファンド(ポウパンサ)の他に、どこから調達するのか財務相は模索中だ。
同案は簡易住宅の融資幅を引き上げ、融資の決済期限も引き伸ばす考えだ。不動産投資会社は、PAC(経済活性化計画)の続編ともいうべき、インフラに関するプロジェクトを提出するよう財務相が呼びかけた。
金融危機の影響で経済の冷え込みと税収減が懸念された十一月、クレジットと税収が持ち返したらしい。税収は前年同期比七%増と、国税庁から報告があった。これが事実であれば、過去十二カ月の税収は前年同期比一〇%増になる。
まだ十二月初旬十日間の動きに過ぎないが、回復の兆しはあったようだ。中古車のクレジットは相変わらず低調で喜ぶのは早いが、新車への問い合わせが増加したことで脈は回復基調へ入ったと財務省は見ている。
国際金融は、まだ門戸を固く閉ざしている。〇八年第4四半期と〇九年期限の外貨建て債務がある企業に、政府は再融資を行う意向を表明した。中央銀行は、国内銀行と外資系銀行へ同再融資向けのみに外貨準備を切り崩すことにした。
財務相が〇九年に予想される不況を乗り切るため、公共投資を〇八年のGDP(国内総生産)に対する一%から、〇九年は一・二%に引き上げると声明を発表した。資材の輸入を必要としない簡易住宅建設や土木工事、インフラ工事に公共投資をつぎ込み、基礎収支を黒字にする考えだ。