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デカセギ帰国者への支援検討へ=文協評議員会=青年部は新規事業も=INSS問題「楽観視できない」=来年度予算は226万レ

ニッケイ新聞 2008年12月16日付け

 ブラジル日本文化福祉協会(上原幸啓会長)は、第百三十五回定期評議員会を十三日午前、文協ビル会議室で開いた。六十人(うち二十人が委任状)が出席した。〇九年度の事業計画案では、経済危機でブラジルに帰国すると見られるデカセギ子弟らに対する対応や、法務委員会による無料法律相談所の開設、青年部の新しいイベント案などが発表された。予算案は、二百二十六万四千七百十五レアルが計上、承認された。
 渡部和夫・評議員会長、上原理事会会長のあいさつの後、三十の委員会の事業計画が読み上げられた。
 国士舘大学センター全体を教育施設として活用する案が検討されるほか、青年部では、従来の事業に加え、青年男女のフットサル、バレーボール大会、「Japao a Brasileira」(ブラジル風日本祭り)が計画されていることを発表。
 出稼ぎ子弟教育委員会が現在の経済危機の影響で帰国するデカセギ・子弟らに対し、CIATE、ABJICA、ISECなどと連動して支援することが確認された。
 渡部会長は、「文協の会員・非会員に関係なく、日系社会の代表団体である文協が支援すべき」との考えを示した。
 法務委員会の大原毅委員長は、「一般の人にも開放した無料法律相談所の設置を検討している」と話した。
 予算案では、清水オリジオ会計専任理事が〇九年度の予算を二百二十六万四千七百十五レアル(前年度の一三%増)、支出を二百十六万千九百八十五レ(前年度の九%増)と発表した。
 これに対し、谷広海氏は、「予算案は事前に郵送すべき」と苦言を呈したうえで、委員会収入が二割以上、会費収入が一割以上増加していることについて指摘。
 現在の会員数(二千四百三十八人)を尋ね、「百周年で増えなかった会員をどう増やすのか」などと質問した。
 これに対し、山下譲二理事会副会長が会員拡充に関して具体案を挙げ、清水理事は、「全委員会収入の一五%を総務委員長に収めていたが、今年から廃止した」と説明、全体の委員会活動を活発化させることで収入増が見込めるとした。
 INSS問題に関して、弁護士で評議員会幹事原田清氏は、「文協は毎月INSSに積立金(約四万レ)を払っており、やるべきことをやっている」と説明、『文協を福祉団体と認める』とした大統領暫定令に関して、「上院から差し戻しされたものが修正案を加え、再度提出された」と現状を説明、「文協としては成り行きを見守るほかないが、まだ楽観視はできない状況だ」と述べるに留まった。