ニッケイ新聞 2008年12月17日付け
アモリン外相は十五日、モンロー米元大統領が唱えたモンロー主義「アメリカのためのアメリカ」になぞらえて、十七日からバイア州で開催される「ラテン・アメリカのためのラテン・アメリカ」会議であると述べたことを十六日付けフォーリャ紙が報じた。
外相発言の裏には「ラテン・アメリカ各国は独立して約二百年になるのに、未だ外国の圧力下にあるとは容認し難いことだ」という含みがある。外国の圧力とは、米国やスペイン、ポルトガルを指すようだ。
モンロー主義には、スペイン語圏とヨーロッパの植民地に対立させる意図があった。しかし、ラテン・アメリカは、誰とも対抗する意図はないし、米国とも親米関係を保つと外相が強調。
伯米関係については、ラテン・アメリカの中にイデオロギーが異なるという意見がある。多くのラテン・アメリカ諸国は、対米関係で何らかの恩恵を受けたからだ。
アモリン外相は、「米国の圧力に屈するのは望むところではないし、金融危機で疲弊した米国が覇権を回復して、ラテン・アメリカ諸国の上に君臨することもあってはならない」と述べた。
ラテン・アメリカ経済という観点では、アモリン外相の一存では決められないようだ。メルコスルの中にも不協和音があり、TEC(域外共通関税)を巡って二派があることを外相は告白。
これまでEUは、ラテン・アメリカへ表裏外交を展開したと外相は批判した。表向きはメルコスルとの通商交渉を演じ、裏ではパラグアイやウルグアイを唆して撹乱工作を行っていた。
ブラジル以外のメルコスル加盟国はTECの引き上げを求める。ブラジルはドーハ・ラウンドで、共通関税の撤廃を農産物補助金廃止の交換条件にした。メルコスルが原因でドーハが失敗すると、ブラジルは国際社会からリーダーシップを問われそうだ。