ニッケイ新聞 2008年12月17日付け
日系二千家族が在住する花といちごの里、アチバイアでは昨年末、アチバイア日伯文化体育協会(地坂勝美マリオ会長)、市役所(ジョセ・ロベルト・トリコリ市長)、オルトランジャ協会(花といちご祭り実行委員会)、プロフロール(花卉生産者協会)、農村協会、福島県人会支部、厚生会、婦人会が一体となり、「ブラジル日本移民百周年記念事業実行アチバイア委員会」(辻修平会長)を設立、今年一年、さまざまな記念事業を行ってきた。同地文協の吉田浩美事務局長の報告をもとに紹介する。
同委員会は、記念事業の資金捻出を目的とした「移民記念夕食会」を五月二十八日に開いた。
報告によれば、同地コロニアではこうした形式での資金調達の例がなく、夕食券が百レアルと高額であることから、「一抹の不安もあった」という。
しかし、市関係者の尽力やコロニアの協力もあり、七百人が出席、結束力の自信をつけ、幸先の良いスタートを切る結果となった。団体としては、オルトランジャ協会、プロフロール、農村協会も資金援助した。
多くの行事のなかでもメインとなったのは、日本移民の日(六月十八日)、アチバイア市制三百四十三周年記念日(同二十三日)を中心に開催された『日本週間』。
会場入り口に鳥居を建て、盆踊り、和太鼓・歌謡ショー、吹奏楽演奏が会場を賑わせ、屋内展示コーナーでは、移民をテーマにした小学生の絵画展、コーラス、盆栽、書道など様々な日本文化を紹介、来場者らは関心を示していた。
スポーツでも野球やゲートボールなどの記念大会が催され、市議会から同市発展に尽力した二十二人の日系先駆者の表彰もあった。
市制記念日にあったパレードには、実行委員会が花車と和太鼓で参加、吹奏楽団との合奏には、街道を埋めた市民から大きな拍手が送られた。
参加全団体が日本移民祝賀プラカード、横断幕を掲げ、市民のコロニアに対する感謝と親近感を示すものとなった。
なお、同地コロニアの軌跡を描いた「Seiryu-nossa terra(清流―私たちの大地)」と同地日本移民の歴史を子供にも分かり易く漫画で紹介した「O Japao em atibaia」(日ポ両語)も市役所から刊行された。
六月二十八日には、「Hospital Novo Atibaia」(和田周八郎院長)が新病棟「日本移民百周年記念病棟」を落成、多くの市民が出席してイナウグラソンが行われた。
八十歳以上の高齢者九十八人を招待し八月三日に開催された「敬老会」は、家族や文協関係者、長年の功労を称える人々で賑わった。最高齢者は、映画監督山崎千津薫さんの祖母、秋吉チトエさん(104)だった。
以上の報告を行った吉田事務局長は、「日本移民を受け入れてくれたブラジルに感謝し、日本の文化や倫理感を次世代へ継承していく努力が必要」と締めくくっている。