ニッケイ新聞 2008年12月18日付け
サンパウロ市市議会が夜の騒音規制の時間帯を八時まで延長する法案承認と十七日付伯字紙が報じた。これまでの市街地騒音対策法(Psiu)の夜間の騒音規制時間帯(二十二時~七時)を一時間延長するもので、日曜、休日は九時まで延長される。
Psiuは、バールなどの夜間営業規定と騒音の上限規定からなるが、今回の法案では規制時間帯の変更だけで、住宅地の日中の規制値五〇デシベル、夜間の規制値四五デシベルなど、騒音の上限変更はない。
この規制時間帯変更の背景は、夜間の騒音への苦情の増加。十一月十六日エスタード紙によれば、一~十月の苦情は二二%増だが、夜間工事に関する苦情に限れば八三%増。オスカール・フレイレ街の地下鉄工事現場での資材積降では、真夜中の住宅地で八〇デシベル記録の例もある。
夜間の騒音公害は睡眠妨害や頭痛、難聴などの原因ともなるが、工事現場付近では、睡眠薬が必要との苦情や、防音性を高める改修工事の実施報告などもある。
これらの実態を背景に承認された法案は、騒音公害対策であると共に、ここ数年、夜型に移行する傾向にある市民の生活習慣を反映したもの。エスタード紙によれば、一九九五年には六時までとされた夜間の騒音規制時間帯は、二〇〇〇年に、一般建設工事は七時からと変更されてきている。
一方、同法案に異議を唱えているのは、トラック乗入れ規制で日中の資材搬入が困難になった上、資材の不足などで、夜間工事を増やさざるを得なかった建築業界。七時~十七時の労働時間が八時~十八時となれば、一般市民の通勤、通学と重なり、労働者の移動時間がかさみ、疲労が増す上、公共交通手段にも影響が及ぶという。
技師資格を持ち、交通渋滞に頭を悩ませるカサビ市長の承認待ちの同法。承認されれば、あと一時間はゆっくり眠れる市民が増えそうだ。