ニッケイ新聞 2008年12月18日付け
母県の守り神をブラジルのウチナーンチュへ―――。沖縄県からこのほど、寺や家などの魔除けの獅子像「シーサー」が、県人移民百周年を記念してブラジル沖縄県人会へ贈られた。八月にブラジル到着後、税金の関係で空港に留め置かれていたが、先週正式に引き取りを完了。十六日午後、県人会で与儀昭雄会長ら関係者がお披露目した。
シーサーは、禍をもたらす悪霊を追い払う意味をもつ伝説の獣。沖縄では家の屋根瓦などに飾られている風景がお馴染みだ。
今回お披露目された像は阿吽(口を開いたものと、閉じたものの一対)の二体で、いずれも高さ約七十センチ、重さは二十キロ以上になる。
制作したのは、郷土の美里焼の陶芸家で、シーサー作りで知られる宮城秀雄さん(69)。紫がかった像は一見金属でできているような光沢だ。
百周年を記念した寄贈の話は、沖縄ブラジル協会の西原篤一会長と与儀会長、ニッケイ新聞社の高木ラウル社長らの間で進められてきたもの。同県内の経営者などでつくる「南風会」(宜志政信会長)がゴルフ大会などを開いて輸送費用を負担した。
像は八月十二日にビラ・コッポス空港に到着、当初は八月二十四日の沖縄県人ブラジル移民百周年式典でお披露目される予定だった。ところが、金額が高額だったことから税関で足止め。手続きに時間がかかり、今月十一日に一万レアル以上を払って引き取ることができたという。
お披露目には与儀会長、高木社長ほか、与那嶺真次副会長、島袋安雄会計、垣花輝明書記、喜友里智辰正監査(イピランガ支部長)らが同席し、像の到着を喜んだ。
シーサーの設置場所について、当初はリベルダーデが予定されていたが、いたずらや盗難の危険もあるため、まだ決まっていないという。
「八月に届いていたのに手続きに時間がかかって引き取るのが遅くなってしまった」と与儀会長は残念な様子を見せながらも、「皆さんの協力で送ってもらうことができた。沖縄でも少ないほどの大きさ」と喜び、「たくさんの人に見てもらえて、安全な場所をこれから考えていきたい」と話した。