ニッケイ新聞 2008年12月18日付け
日本漢字協会が公募し、一年の世相を表す今年の漢字に「変」が選ばれた。首相交代や「チェンジ(変革)」を掲げた初の米国黒人大領領オバマ氏の当選、金融情勢の変動などがその理由だとか。広辞苑を見ると、「かわる、かえる」以外に「事故、事件、異常、奇妙」が並ぶ。確かに異変ともいえるニュースも多かった。京都・清水寺で揮毫した森清範貫主は、「一人一人が変わっていくことが大切」と説く▼さて、コロニアに目を向けるとどうか。何といっても百周年。「祭」「喜」「祝」「讃」「歓」などが思い浮かぶが、事業に関わった関係者にとっては、「忙」であり、「疲」でもあった一年だったろう▼もちろん「変」も当てはまる。師走になっても会計報告をしない(二十二日に記者会見するそうだが)百周年協会は「変」だし、そんな状況のなか、感謝の挨拶のために訪日した松尾治執行委員長の感覚も「変」。極めつけは、『倫理、道徳、尊敬』を金科玉条とし、事あるごとに口にする上原幸啓理事長も「変」だろう。ともあれ、百周年が「大変」だったことは間違いない▼邦字紙でいえば、やはり「百」。海外日系文芸祭の大賞に、武井貢さん(クリチーバ市)の「週五日うすい邦字紙待ち兼ねる記事にあまたの百の字重く」が選ばれたように紙面には、「百」の文字が溢れた▼来年は祭りの後の「閑」「惚」とならないよう、今年の「百」(ひゃく)が飛躍(ひやく)となるような一年となることを祈りたい。 (剛)